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元会計事務所員。税務・会計関係の『積読本』消化をめざして立ち上げた感想文ブログです。

第19回 株式評価の周辺(6) エクセルで各比準要素の相関性と倍率を見る―H23とH24で雰囲気が違う業種区分はどこか?

Excelの極意[2] 数式を極める
 早坂清志著、毎日コミュニケーションズ、2008年
Excelの極意(2) 「数式」を極める Excel 2007/97~2003対応 (Excelの極意 2)Excelの極意(2) 「数式」を極める Excel 2007/97~2003対応 (Excelの極意 2)
(2008/01/19)
早坂 清志

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[購入動機] エクセルが分からずたまらず買い求めました。
[コメント] まだ極意は会得できずにいます。新版が発売中。

【今回の記事の目次】
 1. エクセルで比準要素AとB・C・Dとの相関性を求めてみる!
 2. 類似株価表で「擬似PER」を考えてみる―高倍率・高増加率の業種は?
 3. 感想等

1. エクセルで比準要素AとB・C・Dとの相関性を求めてみる!
 今回は、前回取り上げた品川先生の「利益の株価形成に対する影響度は既に類似株価Aの折込済みではないのか」という点について、国税庁公表の「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の各比準要素が、実際はどのようになっているのか―とエクセルで雰囲気を見てみたいと思います。もはや、税務・会計関係の本の感想文になっていない気もしなくはないですが…今回はスピンオフ作品だと思って、ご容赦頂ければと存じます。

 税務・会計関係で2つの数値群の相関性を見るということは中々ないとは思います。強いて言えば、ヘッジの有効性判定を見るぐらいですかね。これは所定の判定式で判定します。
 他分野では、投資について分散投資する際に考えるとか、マーケティング等の分野で店舗の「売場面積」と「売上高」に相関関係があるか―ということを検証する事例などがあるらしいです(本書p176)。

 エクセルでは、CORRELという関数で「相関係数」を求めることができます。

 CORREL(データ1, データ2
  データ1 【配列(セル範囲)】 
   相関係数を求めたい一方の数値群のセル範囲、もしくは配列定数を指定する。
  データ1 【配列(セル範囲)】 
   相関係数を求めたいもう一方の数値群のセル範囲、もしくは配列定数を指定する。
   「データ1」のデータ個数と同じくなるように注意する  (本書p176)
 この「相関係数」というのは、

・ 相関係数≒1 … 強い正の相関関係がある(正相関)
・ 相関係数≒0 … 相関関係がない(無相関)
・ 相関係数≒-1 … 強い負の相関関係がある(負相関)

 ということのようで、正負に関係なく、

・ 0~0.2のとき … 相関性はほどんどない
・ 0.2~0.4のとき … やや相関性がある
・ 0.4~0.7のとき … 相関性がかなりある
・ 0.7~1.0のとき … 相関性がある

 などと評価することが多いそうです。この目安は「ピアソンの積率相関係数」と言われるもので、検定の偏差の正規分布を仮定している方法とのことです。

【参考】 相関係数―ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B8%E9%96%A2%E4%BF%82%E6%95%B0

 一応、相関関係を表すものであって、因果関係を示すものではないと理解しておいた方が良さそうですね。

 この関数を用いて、業種株価Aと比準要素B・C・Dとの間に実際に相関があるか検証してみました。
 
 数値としては、国税表公表の「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の新業種目となった平成21年以後の資料から、株価Aの前年平均(例:平成21年データでは平成20年として記載されているもの)と比準要素B・C・Dがそれぞれ対応しているものとして、各年の大分類・中分類・小分類の全業種区分121について、上記CORREL関数を用いたところ、下記のような結果を得ました。
第19回図1  
数値としては、やはりC(利益金額)とB(配当金額)が、Aと「相関性あり」の数値を示していますね。
H22のCが低いのが気になりますが、全体としてはBよりCの方が相関係数は高いです。D(純資産価額)は「相関性がかなりある」という段階でしょうかね。

同じデータで、通年の散布図表を作成すると下記のようになります。
第19回図2  
第19回図3  
第19回図4  
 確かにCはまとまっていて、Dは少し散らばっているようにも見えますかね。

 上記では、Aとの相関係数を見ると、Bは0.70~0.74、Cは0.66~0.82、Dは0.51~0.72という結果を得ましたが、これを見るとBとCは相関性としては然程変わりはないようです。ただ、これと株価に対するインパクトの話とは別。BがCと相関性が変わらないと行って、株価に同じ貢献をするかといえば、このデータからは何とも言えません。

 ただ、ここに至って、第18回で品川先生が「株価形成の影響度は類似株価Aに折込済」という真意はよくわかりました。前年株価AとB・C・Dとの間には、上記のように相当程度以上の相関性が認められますが、その中で利益が株価形成に対する影響度が高い―というは株価Aと比準要素Cの関係のことを指している、それはそれで類似の評価A・B・C・Dをセットで用いている限り折込済み、却って3倍してしまうということはバランスを欠いてしまう―ということのように感じます。

 まあ、それも相当程度の相関性が認められてという前提ですので、上記はそれが確認できました―という程度の位置づけになりますかね。

2. 類似株価表で「擬似PER」を考えてみる―高倍率・高増加率の業種は?
 では、相関性ではなくて、ダイレクトにAとCの関係について見てみたらどうでしょうか。経営指標には株価と利益との関係において「割高感」「割安感」を見る指標としてPER(株価収益率 price earnings ratio)があります。
 PER  = 株価  ÷  一株当たり当期純利益
 一般に業界平均値に比して、この数値が高い程、株価は「割高」とされています。この数式を類似業種のH24の比準要素AとCに置き換えて、ヒストグラムとしたものが下記の表になります。
第19回図5
 PERは、ウィキペディアの記事によれば現在では16倍~20倍が一般とされているようですが、上図A/Cですと、5倍~12倍に約8割の業種がおさまってしまいます。これはCの数字が「所得金額」を用いているから―つまり税引前純利益で、PERは税引後利益を用いているところによると思います。ちなみにA/Dは1.3倍以内に約9割の業種がおさまる数値となっています。

 このA/Cを「擬似PER」とすると、この値が高い業種というのは、下記の算式の通り、利益Cの株価貢献部分の金額が高い業種ということになります。
第19回図6 

  この数字の各年分のベスト3の業種は下記のとおりです。

第19回図7 

 まあ、あまり中小企業には関係がない業種が多そうですね。ただ、それよりも気にしなければならない業種は、この値がH23からH24に急激に上昇した業種です。つまり前年と同じ利益で、前年(H23)ベースで試算したり、前年の贈与実績でこれくらいかと思っていたものが、当年(H24)ベースで計算すると、えらく高い株価が付く可能性がある業種ということになります。そのような業種のH24のベスト5は次の通りです。

第19回図8  

 例えば、「鉱業・採石業・砂利採取業」ですが、もしH23・H24の評価会社(C)の数字が36で数字が変わらないと仮定するならば、
・ H23年の利益貢献分=株価A 372 × 評価会社(C)36 / 比準要素C 36(1.00)= 372
・ H24年の利益貢献分=株価A 271 × 評価会社(C)36 / 比準要素C 11(3.27)= 886
と大きくプラスになってしまい、「株価Aが下がった!(372→271)」と喜んでいられない状況(利益に対する株価の割高感は維持されている)となっています。もちろん、ここで擬似PERを用いている業種株価Aは前年平均ですので、当年分のものがそれより下がっていれば、これらの数値より低いものを採用することもできますし、上記2位~5位の業種についても、上の業種区分(大・中)の数値が低ければ、利益対株価の割高感がある業種を回避することができるかもしれません。

 あくまで類似株価の「表」から読み取れる範囲の想定と思っていただければと存じます。

3. 感想等
 今回は「感想文」から離れて、かなり暴走してしまった感がありますが…前回の書籍の指摘を、少し検証したーということで勘弁して下さい。たまには、数字をいじりたくなってしまう病気なので困りますね(笑)。次回は反省をして、ちゃんとした株式評価関係の本を読みたいと思っております。

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2012-11-17 : 取引相場のない株式 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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 税務・会計関係の『積読本』の山を崩したいと、日々研鑽中です。「書評」に至らぬ「感想文」レベルですが、長文(5,000字目途?)の記事を掲載していこうかと思っております。

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