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元会計事務所員。税務・会計関係の『積読本』消化をめざして立ち上げた感想文ブログです。

第21回 株式評価の周辺(8) 図表化がうまい!―非上場株式の税務上の「一物二価」の取扱いを上手くまとめた本

取引相場のない株式の税務―評価の基礎・売買時価の概要と留意点

 森 富幸著、日本評論社、2008

取引相場のない株式の税務―評価の基礎・売買時価の概要と留意点 (シリーズ実務税法解説)取引相場のない株式の税務―評価の基礎・売買時価の概要と留意点 (シリーズ実務税法解説)
(2008/10)
森 富幸

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[購入動機] 評価実務のリファレンス用として
[コメント]
第2編の「図表」は、プレゼン手法としても大変参考になりました。
【今回の記事の目次】
 1. 一粒で二度おいしい二部構成!個人的にはお薦めは「第2編」
 2. 本書で取り上げられた取引類型別の「図表」
 3. 感想等

1. 一粒で二度おいしい二部構成!個人的にはお薦めは「第2編」 
 本書は判型B5判の約200頁の書籍ですので、「評価明細書の記載の手引き」のような感じで手に取られた方が多いと思います。確かに前半の「第1編 評価の概要と留意点」(pp1~117)は実際の評価実務のリファレンスを意識した構成で、作業手順や判定フローチャートの分かりやすいものが示されており(pp1~65)、その役割を十分果たすものと思われます。p31の「評価会社の業種目売上高の総括表」、p49の「営業権の評価計算書」など独自のフォーマットも、実務でも参考になるのではないでしょうか。
 
 ただ、個人的な本書のおすすめ部分は、「第2編 売買時価と税務の取扱い」(pp120~202)です。
 こちらは前回取り上げた中小企業のための事業承継戦略と税実務でも取り扱った非上場株式等のいわゆる「時価マトリックス」のような表を用意し、「取引当事者(法人・個人/支配・非支配)」と「適用される税務上の時価」により16の取引類型に区分した上で、その各々に解説を行っております。本書のこの部分は慎重・堅実なトーンで書かれており、実務上の判断にも色々と示唆を与えてくれるものなのですが、図表の使い方が、私には、とても巧妙に思えました。「一物二価」のイメージが上手く伝えられていると思います。会計事務所の方などは、クライアントに提示するプレゼン資料のアイデアとして、非常参考になるものだと感じております。
 
 
2. 本書で取り上げられた取引類型別の「図表」 
 本書で取り上げられた取引類型別の「図表」の一部ですが、下記のような「ボックス」「○印」により、売主時価・買主時価とのギャップを示したもので解説をしています(下記に売主・買主の時価スタンスが異なるもの等の一部を抜粋させて頂きました)。
第21回 image1  

第21回 image2 

第21回 image3 

 この他にも、「ボックス」「○印」に、具体的数値を入れた計算例を、設例として記載したものも示されており、「一物二価」のイメージと「二価」の場合に取りうる当事者の判断ポイントなど分かりやすいものになっています。この「まとめ方」は個人的に大いに参考になりました。
 
 記載されている解説も、
      個人・支配株主間取引についてのコメント
    (「明文規定自体はなし」「贈与税課税を意識した価額」)(p143)
      法基通9-1-14の逐条解説の「関係会社等」の「等」に個人が含まれるか否か(p144)
      法人税の実務上、税務上の価額に法基通9-1-14が採用される理由(p150)
      みなし譲渡課税規定(所法59)において、例え時価1/2以上の譲渡であっても、同族会社の行為計算の否認により、時価を収入金額とみなされる余地が残されていること(p156)
など、非常に丁寧な表現で好感が持てるものになっています。判例等も話のポイント毎に適切に提示されていますね。また、キャッシュフローの考慮や「買手(非支配株主)の買いやすい価格」など、クライアントにそのまま使える柔らかい表現が多いのも助かります。
 
 
3. 感想等 
 この「図表」は個人的には上手いなあ―と感じました。私の思いつきですが、この図表は、ボックス(四角)の左辺に売手価額に○印、右辺に買手価額で○印をして、左右に売手サイド・買手サイドの課税ポイントを示した上で、中央部分に「落ち着く価額(帯)」を示すといいんじゃないかな―と思いました(ただ長年の御経験を集約された表だと思いますので、私では分からない利点があるとは思いますが…)。他にも読手によって、いろいろなアイデアが湧いてくる書籍だと思います。このように「まとめ方」がうまい方は、羨ましいです。
 
 私の場合、株式評価に関してレポートを求められる場合には前回中小企業のための事業承継戦略と税実務、クライアントへの説明や図表などのプレゼン資料が求められる場合なら本書を、主に参考とするような感じでしたかね。現在はグループ税制、自己株式等などの新論点も入っていますので、またアップデートしたものを出していただくと有難いですね。

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2012-11-21 : 取引相場のない株式 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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