元会計事務所員。税務・会計関係の『積読本』消化をめざして立ち上げた感想文ブログです。

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第31回 私の実務必携本(1) 減価償却関係―50音順早見表があるもの/資産区分の「考え方」が解説された本

減価償却資産の取得費・修繕費(改訂第6版)
 河手博・成松洋一著、清文社、平成24年
減価償却資産の取得費修繕費減価償却資産の取得費修繕費
(2012/04)
河手 博、成松 洋一 他

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[購入動機] 著者・内容
[コメント] 改訂毎に気になってしまう実務必携の書籍です。

【参考】
減価償却実務問答集
 財団法人納税協会連合会、平成24年

減価償却実務問答集―平成23年12月改訂減価償却実務問答集―平成23年12月改訂
(2012/01)
古川 敬明

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【今回の記事の目次】
 1. 減価償却関係の個人的なオススメ本はコレ
 2. 案外判りづらい資産の区分判定の「考え方」を解説
 3. 感想等

今回より、独断と偏見(?)による「私の実務必携本」というテーマでしばらく続けたいと思います。

1. 減価償却関係の個人的なオススメ本はコレ!
 私が、個人的に一般的な減価償却資産についての案件について、よく利用する書籍は次の3冊です。
(1) 減価償却実務問答集―平成23年12月改訂
   古川敬明編、納税協会連合会(発売元:清文社)、平成24年 ※最近は毎年改訂
(2) 減価償却質疑応答集〈平成17年版〉―問答式
    小畑孝雄編、大蔵財務協会、平成17年  ※現在絶版重版未定
(3) 減価償却資産の取得費修繕費 (六版)」
    河手博、成松洋一著、税務研究会、平成24年
 (1)及び(2)はQ&A形式の問答集です。減価償却の書籍ならでは特徴ですが、どちらもイメージし易いようなイラストが豊富です。巻末に「50音順の耐用年数早見表」が付されており、とても重宝しています(納税協会連合会では、この早見表部分だけをすぐわかる減価償却資産の50音順耐用年数早見表として発売しております)。下記が「早見表」の一例です。
 
31-image1.jpg 
 
 尚、(1)については、大阪国税局法人税課の職員の方が執筆されているようですね。(2)は平成24年末現在、在庫切れ(絶版重版未定)のようですので、とても残念です(Amazon中古品ですと良品で2万円が付されていました(H25.1現在)。bookoff等では、もう少し安く手に入るかもしれませんが…)。
 
 (3)(本書)の最新版は、第1編を「減価償却資産」の取得価額、第2編を「資本的支出と修繕費」とする2の構成で、さらに各編が①取扱の概要、②基本通達ケース・スタディ、③質疑応答の3部で構成され、実務でのリファレンスとしての用途を意識された作りになっています。
 
 特に嬉しいのが②と③の解説。②の「基本通達ケース・スタディ」は、第1編の取得価額関係(法基通7-3-1~7-3-17の2)、第2編では資本的支出・修繕費関係(法基通7-8-1~7-8-9)の通達を取り上げて、各通達について「説明」「留意点」「事例」の順に解説されています。「説明」部では通達内容の図表化したものを多く取り上げているところが有り難く、具体的な「事例」がいくつか示されていますのでイメージし易いものとなっています(ただ、判例・裁決ならソースを付して頂けたら、尚よろしかったのですが…)。このあたりは、法人税基本通達逐条解説とは、また違った雰囲気で整理されていますので、通達理解にはこれらを併用すると良いと思います(より生々しい通達関連の事例を見たい方ならば、法人税基本通達の疑問点 あたりとも併せて読まれると良いかもしれません。あちらの方の見解は、かなりアグレッシブな感もあり、本書の雰囲気や法人税基本通達逐条解説とも違いますが…)。
 
 「質疑応答」部は平成3年の初版から改訂を重ねるごとに、充実してきています。私の手許に第三版(平成15年)と第六版(平成24年)があるのですが、質疑応答が150事例から212事例(第1編取得価額 119事例、第2編 資本的支出・修繕関係 )に増補されています。ここ数年の減価償却関係の改正で、減価償却関係の書籍の記述も相当量となっていますので、本書の総頁数も466頁(第三版)から611頁(第六版)になっています。
 
 また、こちらの質疑応答も他のQ&A形式の問答集と同様に、「問」に対する「答」は、(法的三段論法チックに)「規範定立」→「当てはめ」→「結論」という流れで解説されていますが、(1)(2)の書籍の「答」部分が大体1頁に収まるような記載で、記述も「あっさり」とした印象であるのに対し、本書では複数頁渡る解説も多く、「規範定立」部分、特に、当てはめの前提となる「解釈部分」がより丁寧に解説されているかな…と個人的には感じております。取扱う事例が「減価償却資産」という比較的イメージし易いもののため、抽象的な規定文言から、具体的な事例への「当てはめ」という飛躍(解釈)の過程をわかりやすく示されているという点では、税法的な問題の解決思考の「初歩の初歩」「入門の入門」としても、会計事務所の研修用などにも使えるのかな―と思っております。
 
 
2. 案外判りづらい資産の区分判定の「考え方」を解説
 本書では、他の減価償却関係の書籍であまり記されていない「素朴な疑問」にも答えています。資産の耐用年数を探す時に、その資産が何であるのか?―という資産の区分判定の「基準」、それ以前の「基本的な考え方」です。
 
 減価償却資産の区分は法人税法施行令第13条の各号に規定されていますが、意義規定は置かれておらず、必要に応じて、耐用年数省令の各別表の記載ぶりや、税法以外の関係法規を参考として判断していくこととなります。そのため「建物と建物附属設備の区分」、「建物と構築物の区分」、「機械設備と車両運搬具の区分」「機械設備と工具の区分」…という「そもそも…」のところで引っかかってしまうことも案外多いです。
 
 例えば、
停車場設備・東京ドームは、建物か構築物か?
除雪車は車両か機械装置か?/パワーショベルは車両か機械装置か?
鉄鋼圧延ロールは工具か機械装置か?
このあたりの資産区分の判定する際の基本的な「考え方」を、丁寧が解説されています。
 
(1)建物と建物附属設備の区分(本書pp148~150)
 税法と税法以外の関係法規の建物・建物附属設備・構築物と取扱いを比較すると下記のような感じでしょうか。
・  会計基準では「建物」と税法でいう「建物附属設備」を厳密に区分していない(注1)
・  建築基準法上の「建築物」
≒敷地内に存在する税法上の「建物+建物附属設備+構築物」(注2)
 固定資産税法上の「家屋」:
「住家、店舗、工場(発電所及び変電所を含む)、倉庫その他の建物」
=不動産登記法の「建物」(地方税法の施行に関する取扱について(市町村関係))
※ 建築基準法上の「建築物」の要件
 ① 屋根及び柱もしくは壁又はこれに準ずる構造を有する工作物であること
 ② 土地の一定の所に定着していること(注2)

※ 固定資産税法上の「家屋」・不動産登記法の「建物」の3要件(注3)
 ① 外気遮断性(外気分断性) : 屋根及び周壁又はこれらに類するものを有すること
 ② 土地定着性 : 土地に定着した建造物であること
 ③ 用途性 : その目的とする用途に供し得る状態にあること
 これらを見ると建物・建物附属設備・構築物とそれ以外のものとは何とか区分できそうですが、建物・建物附属設備・構築物を各別とする判断に基準とはなりそうにありません。そこで本書では、規定と同視できないまでも、税法上の「耐用年数のルーツを示した文献」(本書p149)とされる「固定資産の耐用年数の算定方式」(昭和26年大蔵省主税局)の「附表2 建物の耐用年数算定の基礎」を参考にすればよい―としています。
 
 本書p149では、例として上記附表2のうち、次のものを示しています。
 
31-image2.jpg 
この表を見る限り、
建物は「防水・床・外装・窓・構造体」の部分から成立 → そのいずれを欠いても「建物」とはなり得ない
としています(p149)。少なくとも上記の構造要素は「建物」と判断するということになるようです。
 
 一方、建物附属設備は、これらの建物(構造体・外装・内装)そのものではなく、建物に取り付けられたものであって、その建物の機能を高めるものであり具体的には耐用年数省令別表第一に掲載されているもの(電気設備、給排水設備、衛生設備、ガス設備等)ということになります。
 
(注1) 「IFRS対応 建物の耐用年数ハンドブック、p7
(注2) 同書、p7、p16
(注3) 同書、p84
(注4) 上記「固定資産の耐用年数の算定方式」(昭和26年大蔵省主税局)の詳細については、耐用年数省令のコンメンタールの「沿革」のパートを参照して頂ければと存じます。他の構造・種別の建物についての耐用年数の算定基礎も表の形式で記されています。
(注5) この耐用年数は昭和26年当時のもので、以下下記の税制改正がありました。
  (昭和26年)耐用年数75年・定率法
→ (昭和41年)耐用年数65年・定率法
→ (平成10年)耐用年数50年・定額法。
 S26年の建物の耐用年数は、建物の構造・用途により物理劣化が速い建物は一般建物より短い年数を規定するなど当時としては、かなり建築技術的なアプローチがされたようです(前掲書、p67)。ただし、「これらは、歳入である税収確保や景気への刺激という政策に合理的に合致することを最優先とした」税制改正が行われ、「当初の会計理論性も薄れている」(同書、p119)ものになってしまったとの指摘もあります。余りにもこの税務上の耐用年数が定着しすぎたために、会計・税務専門家の間でも、物理的な耐久年度であると誤解されているケースも散見されるようです(同書、p10)。
 
(2) 建物と構築物の区分(本書pp154~155)
 構築物の定義規定も置かれていないため、「実務的には耐用年数表から帰納的に構築物が何かを導き出す」(本書p154)ということになりますが、①土地に固着するもの、②建物ではないという特徴を有するとしています。特に本書では不動産登記事務取扱手続準則77条の「建物」として取り扱うもの等を援用して、構築物の範囲を判定していく手法を紹介しています。
 
 上の例の停車場設備は不動産登記上の取扱いでは上屋を有するものは「建物」とされるため、耐用年数表の32年の適用対象となる構築物は「建物の部分以外」となるようです(本書p155)。スタンドも同様に考えると良いようで、「東京ドームもあの屋根を屋根とみればその全体が建物となり、構築物としてのスタンドではない」(本書p155)ということのようです。ちなみに、登記申請上の屋根の種類は、「空気膜屋根」というものになるらしいですね。
 
(3)車両運搬具と機械装置の区分(本書p163~164)
 車両運搬具と機械装置の区分については、運搬目的か作業目的かで判断されるようです。つまり「人又は物を運搬することを目的とせず、作業上において作業することを目的とするものは、いくら「車」がついていても耐用年数省令別表二の「機械及び装置」に該当するようです(本書p163)。
 
 特に「車両及び運搬具」と「機械及び装置」の類似性は「特殊自動車」において顕著のようですね。本書では、現行の耐用年数省令別表第一の「車両及び運搬具」と平成20年改正前の耐用年数省令第二の「機械装置の細目の個別年数」を比較することで、両者の区分が概念的に分かってくるものと思われる―と解説しています(本書p164)
31-image3.jpg
(注)この「機械装置の細目の個別年数」は、耐用年数の短縮承認や増加償却の適用を受ける場合などの特別なケースで資産区分等を行う際に使用されるものです(参考「税務通信」No.3029、2008年8月)。
 
(4)工具と機械装置の区分(本書p165~166)
 共に生産工程で使用されるものですが、可搬式のものであれば工具、可搬式でなければ機械装置という判断を基本線としているようです。
31-image4.jpg  
 
3. 感想等
 今回、税務的見地での減価償却関係の書籍をご紹介しましたが、やはり気になるのはIFRSの動向。「実務必携」という意味で取り上げませんでしたが、公益社団法人ロングライフビル推進協会編のIFRS対応 建物の耐用年数ハンドブック(発行:清文社、2012年)も気になる書籍の一つです。
 IFRSでは建物を重要な構成部分(コンポーネント)―例えば、構造体・外装・内装に分割した上で、各別に個別的耐用年数を適用するとういうことですから、日本の税務上の建物の減価償却のスタンス(一物一用途・一物一耐用年数)とは明らかに異なりますので頭が痛いところです。
 
この「ハンドブック」にはIFRS対応のための先行的試論として、建物毎の個別的耐用年数を決定する際の参考値として「建物及び建築物」耐用年数データ集が掲載されています。かなり詳細なものなので、ビックリしました(税務の方は簡便化の方向に動いているので…)。躯体部分など「建物の使用計画年数」をベースにするもの以外のものは、税務上の内部造作の見積耐用年数にも使いたいなあ…とも思いましたが、現状ですと時期尚早ですかね(笑)。 
 こちらでも税務上の耐用年数についての考察に、かなりの紙面を割いています(法人税等pp48~80、固定資産税評価基準等pp82~96)。 興味がある方はご一読下さい。
【参考】
IFRS対応 建物の耐用年数ハンドブック
 公益社団法人ロングライフビル推進協会、中央経済社、2012年

IFRS対応 建物の耐用年数ハンドブックIFRS対応 建物の耐用年数ハンドブック
(2012/04/07)
BELCA(公益社団法人ロングライフビル推進協会)編集(大沢幸雄執筆委員長)








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