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元会計事務所員。税務・会計関係の『積読本』消化をめざして立ち上げた感想文ブログです。

第34回 私の実務必携本(4) 印紙税―「オススメ」と本選びの「ポイント」

問答式 実務 印紙税(平成24年版)
 木村長一編、大蔵財務協会、2012年
問答式実務印紙税―具体的事例422によりわかりやすく解説〈平成24年版〉問答式実務印紙税―具体的事例422によりわかりやすく解説〈平成24年版〉
(2012/07)
木村 長一

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[購入動機] 書名・内容
[コメント] 文書例・文書索引とQ&Aがバランスが良く、内容も充実。発行年毎の印紙見本掲載。

【参考本】 今回は記事中に掲載しています。
【今回の記事の目次】
 1. 税理士にとっての印紙税―税務代理は認められない!
 2. 印紙税本の「オススメ」と選ぶ際の「ポイント」
 3. 各書籍の特徴
 4. 根本的なところでは…「契約」についての理解が必要!
 5. 感想等


1. 税理士にとっての印紙税―税務代理は認められない!
 16年(泣)もかけて税理士試験にも合格したので、最近はノンビリしてしまっていますが、そろそろ税理士法でも眺めておこうかと思いペラペラめくってみました。
 まず、税理士の(独占)業務というものが、税理士法第2条に規定されています。
(税理士の業務)
第二条  税理士は、他人の求めに応じ、租税印紙税、登録免許税、関税、法定外普通税(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第十三条の三第四項に規定する道府県法定外普通税及び市町村法定外普通税をいう。)、法定外目的税(同項に規定する法定外目的税をいう。)その他の政令で定めるものを除く。以下同じ。)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
 以下、第一号「税務代理」、第二号「税務書類の作成」、第三号「税務相談」が、税理士の(独占)業務として規定されています。この「租税」の後の括弧書きで除かれている税目は業務の対象外ということになりそうですが、「印紙税」もそうだったのですね…。H25年1月から施行される税務調査に関する手続きに関する国税庁のFAQでも、「税理士法において印紙税に関する税務代理は認められていません」と記されており、事前通知・税務調査の内容説明も納税者の方に行うと記されていますね…。
 
【参考1】国税庁HP 税務調査手続に関するFAQ(税理士向け) 問4
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/nozeikankyo/pdf/03.pdf
 
 まあ、今までも「印紙税」に関しては聞かれれば知っている限りで答えます―という形でバックアップするスタンスの会計事務所さんが多かったのではないでしょうか。ただ、日常業務としている経理さんの方が慣れているんじゃないですかね…とは感じています。
 
 
2. 印紙税本の「オススメ」と選ぶ際の「ポイント」
 それでも敢えて「印紙税の本」を推すとなると、個人的には次の4冊ですかね。
1. 問答式 実務印紙税 大蔵財務協会 
     ※2013年1月現在の最新版H24版
2. 印紙税取扱いの手引き 納税協会連合会(発行元:清文社) 
    
※2013年1月現在の最新版H23年6月改訂版
3. 印紙税の課税非課税がわかる本 税務経理協会
    ※2013年1月現在の最新版 第5版H22年
4. 印紙税実務問答集 税務協会出版局 

    ※2013年1月現在の最新版 第三版増補版H19年
 
もっと初歩的な本も出ておりますが、まあ、こんなところだと思います(直近の改正はH22なので、できれば、それ以降のものが良いですかね。)。
 
 それぞれの特徴があるのですが、大別すれば1又は2のうち一冊、3又は4のうち一冊が、手許にあると良いと思います。
 
 印紙税のトラブルは、①単純な貼付もれ、②課税文書の号数ミス、③課税文書と思わなかったものが、税務調査で思いもよらず課税文書と認定されてしまう―3つに大別されると思います。
 
 一番怖いのが③ですかね。日常業務としては「覚書」のようなものがその一例となりますが、過去には冠婚葬祭会社が葬儀の終わった遺族に「あいさつ状」を送り、その末尾に代金と領収日を書いて送付したら、税務調査で「領収書」に該当すると認定され、3年間で印紙税2,700万円、過怠税3,000万円が課せられたという報道があります。
 
【参考2】 礼状に代金書いたら領収書 2009/7/26
http://www.47news.jp/CN/200907/CN2009072601000437.html
 
 特に定型的なものとして大量枚数の作成するような文書が、第7号文書(継続的取引の基本となる契約書4,000円)等で認定されるのが怖いです(4,000円×認定枚数に過怠税)。そこで印紙のトラブル回避のポイントとしては、①具体的な課税文書の様式例・文書例によく目を通すこと、②契約(民法、業法等)の知識、理解を深めること(これは後述します)、③書類を各担当部署で勝手に作成したり、不用意に外部配布せず、文書管理・チェックを徹底すること(稟議を法務担当に通すこと等)―にあると思っています。
 
 
3. 各書籍の特徴
 1~4のどの書籍も、印紙税の総論から各課税文書の番号順(第1号文書~第20号文書)で掲載されています(インデックスを付しておくと分かりやすいです)。タイプとしては、文書例・様式例が豊富で、文書名の索引が充実しているのが1と2で、Q&Aの雰囲気が強いのが3と4です。ただ1の書籍はQ&Aとしても読みやすい記述がされていますので、この中で一冊を選べと言われれば、個人的には文書例・索引・Q&Aのバランスが良い1の本を個人的に推します。
 
(1)問答式 実務印紙税 大蔵財務協会
問答式実務印紙税―具体的事例422によりわかりやすく解説〈平成24年版〉問答式実務印紙税―具体的事例422によりわかりやすく解説〈平成24年版〉
(2012/07)
木村 長一

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 文書・様式例、逆さ引きできる文書名の索引、Q&Aの読みやすさのバランスが良く、法令(印紙税法・課税物件表・施行令・施行規則・措置法・印紙税法基本通達・同別表第2「重要な事項の一覧表」等)も収録されています。執筆陣担当は、初版「はじめに」によれば、東京国税局課税第二部消費税課です。
 また、有難いのが「収入印紙の告示年月日等」が収録されていること。印紙は数年ごとにデザインが変わりますが、告示年月日・寸法・刷色・着色繊維のデータに加え、写真による見本が掲載されています。昔の契約書に、契約当時には発行されていない(新しい)印紙が貼付されていると、後で貼ったことがバレちゃいますので、注意して下さいね(笑)。
 
(2)印紙税取扱いの手引き 納税協会連合会(発行元:清文社)
印紙税取扱いの手引―平成23年6月改訂印紙税取扱いの手引―平成23年6月改訂
(2011/06/03)
児玉 正己

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 文書・様式例、逆さ引きできる文書名の索引は(1)と遜色ないですが、QA部分は文章が堅めで、量も少ないかな…という印象です。
 こちらには、巻末付録に「印紙税関係書類の様式及び記載例」が収録されており、「印紙税税印押なつ請求書」「印紙税納付計器設置承認・被交付文書納付印押なつ承認申請書」「印紙税書式表示承認申請書」「印紙税一括納付承認申請書」「印紙税納税申告書(書式表示用)」「印紙税納税申告書(一括納付用)」その他の書式の記載例など、かなり助かるものが載っています。
 
(3)印紙税の課税非課税がわかる本 税務経理協会
印紙税の課税・非課税がわかる本印紙税の課税・非課税がわかる本
(2010/06)
松本 正春

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様式・文書事例は少ないですが、各課税文書のポイントを、図表などを用いて解説しています。特にわかりやすい記述と感じたのは、文書の記載金額を下記のようなボックスにより図表化して示しているところは工夫の跡が見られますね。
 (例1)
物品の加工契約書で、加工単価500円、数量10,000円となっているもの
第2号文書に該当し、記載金額は500万円(500円×10,000個)
 (例2)
ビル清掃請負契約書において、「清掃料は月10万円、契約期間は1年とするが、当事者意義なきときは、更に1年延長するものとする」と記載されている場合
記載金額120万円(10万円×12か月)の第2号文書(請負に関する契約書)
 
(4)印紙税実務問答集 税務協会出版局
印紙税実務問答集印紙税実務問答集
(2007/11)
小高 克巳

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 こちらは「ザ・問答集」です。様式・文書例が少ないのが残念ですが、解説は丁寧で詳細です(ただ、この書籍と比しても、(1)の解説部分は遜色ないです)。
 
 あとは必要に応じて「印紙税法基本通達逐条解説」(大蔵財務協会)や、相当噛み砕いた「やさしい」印紙税の本、リスト(一覧)表現に特化した本なども出ていますので、お求めになられれば良いと思います。
 
 
4. 根本的なところでは…「契約」についての理解が必要!
 上記まで「印紙税」に直接解説した書籍を紹介しましたが、これらの本を読んだとしても「課税文書と思わなかったものが、税務調査で思いもよらず課税文書と認定されてしまう」というリスクの根本的なところは排除できません。税法以前に契約の知識(民法の理解)が必要とされるのです。
 

 上述の2【参考2】の会社さんは、昨年も印紙税について調査で否認を受けたという報道がありました。
 
【参考3】 葬儀申込書に収入印紙納付漏れ 2012/9/11
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120911/crm12091113170011-n1.htm
 
 これは、お客様に「申込書」という名称の文書でのやり取りでも、その文書に要求事項を書き込むことによって、当事者であるお客様の「申込み」と会社側の「承諾」というお互いの意思表示が合致(契約の成立)しているように読み取れる文書体裁になっていれば、それは「契約」ということになるのです。それが文書で表現されていれば印紙税法としては実質的には「契約書」ですので、お客様に負担がかからないように便宜を図った「申込書」を作成したとしても、おもわぬ「印紙税」リスクが生じることもあるのです。「注文請書」が課税文書となるのもの、同じ発想ですよね。
【契約の成立要件】
① 当事者が存在すること
② 目的(物)が存在すること
③ 意思表示が合致すること
 (申込の意思表示「買いたい」「売りたい」と承諾の意思表示「売りましょう」「買いましょう」が合致)
  となると、やはり、民法の「債権総論」でやるような「契約」に関する知識(法学部出身の方から見れば初歩の初歩なのでしょうけれども…)や理解が乏しければ、根本的なところでリスクは回避できないと考えます。
 
 また印紙税の「覚書」「変更契約書」における認識についても、民法の「債権各論」で論じているような各典型契約の中身が理解し、契約当事者の債権債務の主内容がわかっていれば、印紙税法別表2に掲記されている「重要な事項」の意味合いも、然程違和感なく、受け入れられると思います。

【典型契約】
「契約自由の原則」からどのような契約を結ぶことも自由。民法では典型的な契約(13種)を示す。
 

移転型契約

贈与・売買・交換

賃貸借契約

消費貸借・使用貸借・賃貸借

労務型契約

雇用・請負・委任・寄託

その他契約

組合・終身定期金・和解


 法務部を有するような大企業ならば契約書のチェックはできると思うのですが、そうでない会社の経理・総務の方が法律まで…というのは酷な話ですよね。本格的な民法の本を読むのもシンドイです。という方には、「ビジネス実務法務検定 3級の公式テキスト」(東京商工会議所編)が丁度良いのではないかなと思っております。
 これは民法ばかりでなく、各契約に必要な各業種の業法なども端的に解説されていますので、本来は検定学習用のものですが、入門書としては良いのかなと思っています。
ビジネス実務法務検定試験3級公式テキスト〈2012年度版〉ビジネス実務法務検定試験3級公式テキスト〈2012年度版〉
(2012/01/27)
東京商工会議所

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 また「抽象的」なことばかりで頭でっかちとなってはいけないので、「具体的」な「契約書のつくり方」のような書籍も目を通しておくと良いと思います。個人的なオススメは下記の2冊です。
(1) 「ビジネス契約書の見方・つくり方・結び方」、横張清威著、同文舘出版、平成20年
(2) 「契約書作成実務とチェックポイント」、堀越董著、税務研究会出版局、平成17年
 前者は「各契約書の条項が意味や役割がわからない」「それが十分がどうかわからない」「どう変えればわからない」―こういった疑問をやさしく、ビジュアル的に示したものです。「契約のどちらが有利になる条項か…」という観点のコメントも入っているので門外漢の方にも取っ付き易い本です。
ビジネス契約書の見方・つくり方・結び方 (DO BOOKS)ビジネス契約書の見方・つくり方・結び方 (DO BOOKS)
(2007/12)
横張 清威

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 後者は税務研究会出版局から発行されているもので、こちらも分かりやすいです。どちらも、それなりの文書例があります。
契約書作成実務とチェックポイント契約書作成実務とチェックポイント
(2005/12)
堀越 董

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5. 感想
 Wikipediaの印紙税の項目を見ていると、オランダで1624年に戦費調達のために考案されてみたいですね。古い歴史をもっています。ただ日本での税収を見てみると、H9 1,681,076百万円からH17 1,168,832百万円となり、H22の数値では1,024,021百万円(約1兆円)と随分減少してきているようですね。EDI取引契約など電子化したビジネス文書の取引も進展してきているので、この傾向は今後も続くでしょうね。
 
【参考4】 国税庁HP 国税庁レポート2012版 資料編
http://www.nta.go.jp/kohyo/katsudou/report/2012/07.htm#a07_a

[一部修正] 2013/01/28

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