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元会計事務所員。税務・会計関係の『積読本』消化をめざして立ち上げた感想文ブログです。

第37回 税理士試験・へそ曲がりの過去問解答(3) 第60回(H22)法人税法 TOB―やってしまった…経過措置の誤読。

実践TOBハンドブック
 石井禎、関口智弘著、日経BP社、2007年
実践TOBハンドブック実践TOBハンドブック
(2007/01/25)
石井 禎、関口智弘 他

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[購入動機] 内容
[コメント] 書名に違わぬ「実践」的なM&A専門の弁護士さんの本です。イメージがし易いです。
 ※新版2010年が発売されています!

【参考】
負けない技術
 桜井章一著、講談社、2009年
負けない技術──20年間無敗、伝説の雀鬼の「逆境突破力」 (講談社プラスアルファ新書)負けない技術──20年間無敗、伝説の雀鬼の「逆境突破力」 (講談社プラスアルファ新書)
(2009/09/18)
桜井 章一

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【今回の記事の目次】
 1. 第60回(平成22年度)法人税法の教訓―シンプルに考える!
 2. 第60回法人税法 第一問 問2 TOB(受取配当の益金不算入)
 3. 【誤答】へそ曲がりの解答(その三)
 ― 会社法上のTOB株の譲渡時期は買付期間満了後だから、新法が適用される。
 4. 【正解】 取得日は「みなし配当の基因となった株式」の取得日9/21―従って旧法適用!
 5. 感想


1.
 第60回(平成22年度)法人税法の教訓―シンプルに考える!
 伝説の雀士の桜井章一さんの負けない技術──20年間無敗、伝説の雀鬼の「逆境突破力」 (講談社プラスアルファ新書) 」(2009年)に、「勝ちたい」思考と「負けない」思考の考察があります。
 「勝ちたい」という思考は自然界の中には存在しない。自然界の中にいる動植物たちには「本能で生きる」、つまり「負けない」という普遍のスタンスがあるだけであって、それ以上でもそれ以下でもないのだ(p4)。
 結果は同じでも、この二つの思考の本質は全く別のものだそうです。「勝ちたい」という思考は、欲望と同じで際限がない。人間の性と言えますが、「「勝ちたい」欲は厚化粧と同じ」(p13)―表層に過ぎないと言っています。一方、「負けない」という思考は、本能―〝素〟の部分に近い。

 そして、「勝ちたい」思考にこだわり続ける程、「確証」や「保証」というものを求めることとなり、自分でものを考えず、「勝負感」が鈍くなっていく現代人の特徴とも言えるようです。

  また、勝負師として幾多の場面を見てきた桜井さんは、「ビギナーズラック」について、次のように述べています。
 「難しく考えない」―ここにビギナーズラックの必然性がある。人は、ものごとがわかってくるとだんだんと難しく考えるようになる。知識や情報が増え、考えが広がってくると、そこに迷いが生じてくる(p54)。

 「簡単なものほど、じつは難しかったりするじゃないですか」と聞いてくる人もいる。しかし、私からすれば「簡単なものは簡単」。そのままなのだ。(p55)。

 勝負を複雑にすればするほど、「負け」へと近づくこととなる。勝負の世界でも「シンプル・イズ・ベスト」ということがいえるのだ(p54)。
  反対に「負ける」原因は「99パーセントは自滅」p38)であるとして、次のように述べています。
 簡単に言ってしまえば、「勝ち」を求める人は、動機や行動に自滅の要素を孕んでいる。しかし、「負けない」ことの意味を理解し、「負けない」ための思考と行動を取ることができれば、少なくとも自滅は避けられるp39)。
  ゲーム理論のミニマックス原理(mini-max principle)」に通じるところがありますね…いずれにしても、非常に耳が痛いお話です。この本を読んで思い出されるのが、第60回(平成22年)法人税法の理論の問2の問題です。
 
 

2.
 第60回法人税法 第一問 問2 TOB(受取配当の益金不算入)
 60回(平成22年度)法人税法の理論の問2では、公開買付け(TOB)の税務上の取扱いについて問われました。
60回(平成22年度) 法人税法 第一問
2
 甲証券取引所市場第一部に上場しているC社は、平成22年9月15日開催の取締役会において、会社法第165条第3項の規定により読み替えて適用される同法第156条第1項《参考の法令参照》及び同社定款の規定に基づき、自己株式の取得及びその具体的な取得方法として、自己株式の公開買付けを行うことを決議し、その翌日に下記の内容の電子広告を行って、その旨を乙新聞に掲載した。

 D社は、平成22年9月21日に、株式市場を通じてC社の普通株式100,000株を1株当たり510円で取得した後、C社の公開買付けに応じ、同月24日にその全部をC社に対して490円で譲渡した。なお、D社が譲渡により交付を受けた1株当たりの金銭の額のうち、C社の資本金等の額から成る部分は300円である。

 この場合のC社及びD社の平成22年4月1日から平成23年3月31日までの間の事業年度における法人税法上の取扱いを簡潔に説明しなさい。

〔自己株式の取得及び自己株式の公開買付けに関する公告の内容〕
1) 買付け
 経営環境に応じた機動的な資本政策を可能とするとともに、資本効率の向上と株主への一層の利益還元を図るため。
2) 自己株式の取得の内容
 ① 取得する株式の数 普通株式 2,000,000株(上限) (発行済株式総数に対する割合25%)
 ② 株式の取得価額の総額 1,000,000,000円(上限)
 ③ 株式の取得期間 平成22年9月16日から平成22年10月26日まで
3) 買付けの
 ① 買付けの期間 平成22年9月16日から平成22年10月18日まで
 ② 買付けの価格 1株につき490円
 ③ 買付け予定株式数 2,000,000株
 ④ 買付けに要する資金 990,000,000円(買付代金、手数料その他の費用の見積額の合計)

《参考法令》
○ 会社法  第156条と第165条の条文が掲載されていました(省略)。
 
 株主側(D社)・発行法人側(C社)の別に、自己株式取得の諸論点について、漏れなく説明するという問題でしたが、平成22年改正の「自己株取得予定株式に係るみなし配当の受取配当の益金不算入の不適用」の適用可否―本問が旧法適用なのか(益金不算入の適用あり)、新法適用なのか(益金不算入の適用なし)―ということも論点の一つとなっていました。
 
財務省の「平成22年度改正関係参考資料(法人税関係)」では、次のように記されていました。
平成22年10月1日以後に取得する株式に係る配当等の額について適用(改正法附則14、24)
  こちらについては、出題者の意図は明らかにされています。国税庁HP「税理士試験出題のポイント」には次のように記されています。
平成22年度(第60回)税理士試験出題のポイント 法人税法[第一問]
 問2は、企業の経営環境に応じた機動的な資本政策などを目的として公開買付けが行われた場合に、その法人税法上の取扱いが正しく理解されているかどうかを問うものである。
 なお、平成22年度税制改正において、発行法人により自己株式として取得されることを予定して取得した株式が自己株式として取得された際に生ずるみなし配当の額については、益金不算入制度を適用しないこととされているが、今回の試験はこの改正後の取扱いを問うものではない。
  解答は旧法適用となります。
 

3.
 【誤答】へそ曲がりの解答(その三)
 ― 会社法上のTOB株の譲渡時期は買付期間満了後だから、新法が適用される。
 先に申し上げておきますと、以下に記した下手の長談義―私の「へそ曲がり」の解答は誤りです

 私は、上記の改正附則に記された適用時期を、発行法人側の自己株式の「取得」の時期と読んでしまい、その取得日は、問題文の譲渡とされる日9/24でなく、少なくとも公開買付期間満了日(10/18)以後であることを証明し、旧法の適用がないことを示そうとしました。

 実は実務でTOBのことを少しかじったこともあったので、「これは取れる!」と臨んだ問題だったのですが、そもそも話の入口から間違っていたのです。桜井さんに言わせれば、
「「勝ち」を求める人は、動機や行動に自滅の要素を孕んでいる。ということでしょうね。今考えると、恥ずかしいですね…。
 
 以下はその時の私の思考過程、発行法人側の自己株式の「取得」の日=株主法人側の譲渡の日の検討を示したいと思います(ここの論証は本問の解答上不要なものですので、結論を見たい方は読み飛ばして4に進んで頂いて下さい<(_)>)。
 ※もちろん、下記のような詳細に考えていた訳ではないです(かなり条文・資料等は補わせて頂いています)。ただ、筋道はこんな感じでした。
(1) 問題文の違和感―9/24譲渡?
(2) 法人税法上のみなし配当の計上時期・株式の譲渡時期
(3) 会社法・金商法の「応募株式の所有権の移転時期」の考え方
(4) 結論【誤】
 
1) 問題文の違和感―9/24譲渡?
まず、私は下記の問題文の表現に違和感を持ちました。
 C社の公開買付けに応じ、同月24日にその全部をC社に対して490円で譲渡した。
 
  これは、下記の表現の方が正しいのではないかと。
 C社の公開買付けに応じ、同月24日にその全部をC社の公開買付代理人に対して(当然、TOB価格の490円で)応募した。
 
  公開買付(TOB)の手順は、買付期間に応募株主が「応募」して、その後、公開買付の結果を通知する―という流れになります。特に本問では、TOBには取得株数の上限(2,000,000円)が付されています。つまり、上限の変更がない限りは、もし3,000,000株の応募があった場合など上限を超えたとき、1,000,000株は株主平等原則を踏まえ「あん分方式」等で返還されることになります。「全株」が応募に応じられるとは限らないのです。そのような状況なのに、買付期間(9/16~10/18)に応募した日(9/24)が「譲渡をした日」になるのでしょうか?
 また、仮に9/24が税務上「譲渡日」(発行法人側の取得日)で良いとなると、買付期間中も発行法人の資本金等の額が毎日異動して、「みなし配当」の額が変わってしまうということなのでしょうか?―素朴に疑問を感じました。
 
【参考】 応募株式が買付予定株式(上限)を上回った場合(あん分方式) 
 スミダコーポレーション(東証) 2006年12月
 http://www.sumida.com/jpn/news/2006/press/20061205_J.pdf
 ハーモニック・ドライブ・システムズ(JASDAQ) H19年3月
 http://www.hds.co.jp/ir/news/pdf/070319_koukai.pdf
 
 順を追って考えてみましょう。
 

2) 法人税法上のみなし配当の計上時期・株式の譲渡時期
 D社のみなし配当の計上時期は、いつになるのか。法基通に配当の計上時期の定めがあります。
【配当の日】
法人税基本通達2-1-27(剰余金の配当等の帰属の時期) ※一部抜粋
 (4) 法第24条《配当等の額とみなす金額》の規定によるみなし配当については、次に掲げる区分に応じ、それぞれに定める日
 ホ 同項第4号に掲げる自己の株式又は出資の取得によるものについては、その取得の日
  配当計上時期は「自己株式の取得の日」。「取得」ということは、C社側のスタンスに合わせるということのようですね。ただ、C社側は資本等取引ですので、時期のことは通達にもはっきりとは記されていません。では、譲渡サイド(D社)の譲渡の日はいつになるでしょうか(理屈では「みなし配当」では譲渡日と配当日が違う日とは考えづらい)。
 
【譲渡契約等の日】
法人税基本通達2-1-22(有価証券の譲渡による損益の計上時期) ※一部抜粋
(1) 証券業者等に売却の媒介、取次ぎ若しくは代理の委託又は売出しの取扱いの委託をしている場合
  当該委託をした有価証券の売却に関する取引が成立した日
(2) 相対取引により有価証券を売却している場合
  金融商品取引法第37条の4《契約締結時等の書面の交付》に規定する書面に記載される約定日
  売買契約書の締結日などの当該相対取引の約定が成立した日
(3) その譲渡損益の額が次によるものである場合
  次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める日(合併・分割型分割・株式交換・株式移転。以下略。)
 この通達のどれに該当するかについては、所得税法の規定が参考になると思います。
 TOBに際し個人株主の譲渡所得を考える場合、上場株式でも「相対取引」であることと考えると、軽減税率が使えないのではないか―という懸念が生ずると思います。この場合、TOBでは金融商品取引法の規定で証券会社等の「公開買付代理人」を通じて事務手続きが行われることになります。これが金融商品取引業者の「売委託」に該当する―ということになり、軽減税率が適用できるということになっています。問答式株式譲渡益課税のすべて〈平成22年版〉」(与良秀雄著、大蔵財務協会、平成22年)には次のように記されています。
【引用】 p89
Q35 上場株式を株式公開買付けに応じて譲渡した場合の軽減税率の適用
 個人が所有する上場株式について公開買付けに応じて譲渡した場合、上場株式を譲渡した場合の軽減税率の特例を適用することはできますか。

A] 
1 株式公開買付けについて株式公開買付け(TOB)とは、不特定かつ多数の者に対し、公告により株券等の買付け等の申込み又は売付け等の申込みの勧誘を行い、取引所金融商品市場外で株券等の買付けを行うことをいうとされています。公開買付けにより株券等の買付けを行う場合には、その目的、買付け等の価格、買付予定の株券等の数、買付期間等を公告しなければならない。また、その場合の株券等の保管、買付け等の支払等の事務は、証券会社又は銀行等(公開買付代理人)に行わせなければならないこととされ、その公開買付代理人の業務は金融商品取引法第35条に規定する「付随業務」に当たるとされています。

2 公開買付けに応じる者と金融商品取引業者の関係株主が公開買付けに応じる場合には、買付期間中に公開買付代理人である金融商品取引業者に株券等を提出し、公開買付けに応募することとなるが、その場合の金融商品取引業者の業務は、金融商品取引法第2条第8項第2項に規定する「有価証券の売買の媒介」に当たるとされています。
 そうすると、株主が公開買付けに応じ、金融商品取引業者に公開買付けの応募をする場合の金融商品取引業者の業務は「売委託」に該当しますので、公開買付けによる譲渡の場合には、軽減税率の適用があります
 とするならば、TOBでは公開買付代理人の売委託という位置づけは変わりませんので、株主法人の譲渡損益の計上時期は、(1)の「当該委託をした有価証券の売却に関する取引が成立した日」と考えられます。ただ、TOBの場合の、C社側の「取得の日」、D社側の「取引成立日」とも法人税法の規定では、ハッキリとしたことは記載されていません。では、会社法・金融商品取引法では、どのように考えているのでしょうか。

 
3) 会社法・金商法の「応募株式の所有権の移転時期」の考え方
  実践TOBハンドブック(石井禎、関口智弘編、日経GP社、2007年)では、下記のような記載があります。
【引用】 pp121~123
ⅳ 実務上の問題点
a 応募株式の所有権の移転時期
 上記④ⅱで述べたように、大量保有報告書の提出義務の発生時期については、実務上、公開買付期間満了日当日又は翌日として取り扱う場合が多い。では、公開買付手続における応募株式の所有権の移転はどの時点で移転すると考えるべきであろうか。具体的には、短期売買禁止期間の計算、買収防衛策における新株又は新株予約権割当の基準日設定等の関係で問題となる。

 この点、金商法では応募株式の所有権移転に関する規定がないが、会社法上は、①株券発行会社の場合は株券の交付によって株式譲渡の効力が生じ、②株券発行会社でない場合は、当事者間の合意によって株式譲渡の時期が定められる。そこで、金商法の規定に基づき、買付け等に係る受渡しその他の決済が完了した時をもって①、②それぞれの事象が生じたと意思解釈することで株式が移転すると解することができる。ただ、大量保有報告書の提出義務の発生時期との平仄を考慮すれば、金商法に基づいて公開買付期間の満了により応募株主の契約解除権が行使できなくなる反射的効果として、①の場合には株券の占有が応募株主から公開買付者に移転し、②の場合には当事者間で株式譲渡がなされたものと合理的な意思解釈ができるものとして、公開買付期間の満了によって応募株式の所有権が移転すると捉えることも可能である。この点は、どの時点で①、②それぞれの事象が生じたと解釈するかという合理的意思解釈の問題である。

b
 公開買付応募契約におけるクロージングの手続きの定め
 TOBを伴わない非上場株式の譲渡や事業譲渡を定める契約書では、売買の意思表示、売買目的物や売買代金のほかに、売買の実行・決済(クロージング)の手続きについて、その停止条件と当事者双方が引き渡すべきものなどが規定されているのが通常である。しかし、TOBの場合には、公開買付けを撤回した場合や、予め買付け予定株式数に上限や下限を付した場合を除き、応募株券等の全部について所定の受渡しその他の決済を行わなければならない(金商法27条の13第4項)。この場合、受渡しその他の決済に関する条件は、金商法27条の13第4号各号の規定に従って、買付予定株数に上限又は下限を付けることしか許されない。そのため、公開買付応募契約では、クロージングについて、こうした金商法の枠組みに反する内容の停止条件を定めることは許されないと考えられる。

 また、公開買付手続きのクロージングは、売主と買主との間の相対取引ではなく、応募株主全員との受渡し・決済が行われるため、具体的なクロージング手続きの内容について一部の売主と公開買付者との間だけで公開買付応募契約で定めることも適切でないと考えられる。
  金商法ではTOB応募株式の所有権移転の時期は規定していない会社法上では、「買付け等に係る受渡しその他の決済が完了した時」とも、「公開買付期間の満了」時とも、合理的意思解釈(契約趣旨が不明確な場合に、当事者の合理的意思にそって解釈すること)ができる―ということのようです。ただ、どちらであっても、少なくとも「公開買付期間の満了」よりは後

 また、TOBのクロージング自体は、応募株主全員との受渡し・決済であり、個別の売主・買主との相対で受渡し・決済であるとのこと。「一部の売主との公開買付者との間だけの公開買付応募契約を定めることも不適切」である上に、取得株式に上限という条件を付されていることもあるため、少なくとも9/24を売手・買手双方の「譲渡」「取得」の日とはしづらいのではないか―と考えました。

【追加補足 2013/1/26】 
※1 「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針」のパラグラム5によれば、自己株式を現金を対価として取得する場合、その取得は「対価を支払うべき日」に認識するとされています。
(自己株式の取得が資本取引であることから、「資本の払戻し」と整合性をとるため、金融商品としての「約定基準」は採用していない。) [参考] 「自己株式の会計と申告実務Q&A(第4版)」、p69

※2 会社法においても、発行会社が取引当事者となる自己株式の取得は、総会決議等が必要とされることから、取得の場合には「申込期日」に効力が生ずるものとされています(会社法159②)。なお、反対株主からの買取請求に伴う自己株式の取得の効力発生日は、原則として代金収受日(会社法117⑤、例外は会社法786⑤など)、これは個別に買取請求がなされるためだと思われます。[参考]「よくわかる自己株式の実務処理Q&A(第2版)」、p84

※3 ※2について、旧改正商法(いわゆる金庫株解禁改正商法)施行日であるH13.10.1をまたいで、定款変更に反対する株主の株式買取請求権行使に係る自己株式の取得時期がいつになるか争われた事例があるそうです(平17.9.21裁決、東京地判平19.7.10、東京高判平19.12.26・棄却(確定))。税理vol.54 2011年12月号の掛川雅仁先生の記事によれば、「納税者は、株式買取請求権行使に係る自己株式の取得による譲渡の成立時期は、株式買取請求のあった日と解していたところ、納税者の株式買取請求に基づく代金債権は、和解の成立までは確定しなかったが、和解の成立により買取価格が定まり、その成立と同じ日に代金が株券の引渡しと引換えに支払われるものであるとされた。納税者の想定を超えた結論であっただろう」(p48)と述べています。他にも一般の者の想定を超えているものとして、所在不明株主からの自己株式の取得があるそうです(同頁)。


 
4) 結論【誤】
 ここで株主法人の譲渡計上時期である「当該委託をした有価証券の売却に関する取引が成立した日」みなし配当計上時期である「自己株式の取得の日」発行法人の資本金等の異動を認識すべき「自己株式の取得の日」を考えるときに、本問のTOBが上限を設定しているため取得株式(数)が公開買付期間満了まで確定しない点、公開買付者の撤回の可能性もある点、公開買付応募契約が一部の売主と公開買付者との間だけで定めることは不適切であり、クロージングの受渡し・決済が応募株主全員と行われる点などから、「公開買付期間の満了時」ないし「買付け等に係る受渡しその他の決済が完了した時」とすることも考えるべきではないか―。少なくとも単なる応募株主の応募をもって、発行法人が資本金等の額を異動させるべき日(取得の日)とすることは、ふさわしくないと考えられるため、旧法の適用でなく、新法が適用される―と考えたのです。
 
 

4.
 【正解】 取得日は「みなし配当の基因となった株式」の取得日9/21―従って旧法適用!
 結論から言うと、上記のような検討は全く不要でした。法附則を素直に読めば、適用の基準となる「取得」は、みなし配当の基因となった株式の取得と読めますので、D社のC株式の取得日が10/1より前であるか、後であるかで判断します。本問では、その取得日は9/21。よって旧法の適用となるのです。
附則 (平成二二年三月三一日法律第六号) 抄
(受取配当等の益金不算入に関する経過措置)
第十四条  十月新法人税法第二十三条第三項の規定は、法人が平成二十二年十月一日以後に同項に規定する取得をする株式又は出資に係る同項に規定する配当等の額について適用する。
 


5.
 感想等
 要らぬ事を考えて自滅した―そんな問題でした。
 なまじTOBについて、自分が少しかじったことがあったので、問題が見たときに「いい気」になっていたのです。しかも、「こんな論点が面白かろう…」と変なことを考えてしまった…。「綺麗な勝ち」にこだわり、しかも事態を複雑化させていった―酷いものです。

 上記の桜井章一さんの本でも、「勝負所」について述べています。
 「こちらが七分、相手が三分で有利だから勝負を仕掛けやろう」というのは、〝勝負所〟ではない。反対に相手が七分で勝負をかけてきて、こちらは三分という不利な状況なときこそ〝勝負所〟である(p122)。
  「負けない」という思考法ならば、そうなりますよね。不利な状況をしのぐ。そのような状況でも逃げないで対処する―この場合にシンプルさや、程度感(相手に与えるダメージは、「負けない」程度で徹底的にやらなくても良い=完璧主義に陥らない)、捨てる覚悟等々が大事というのが、この本には書かれています
 
 上の問題ももっとシンプルな対処をすれば、入口で間違ったとしても、すぐにリカバーできたかもしれないですね。
 いろいろな意味でとても反省させられた問題でした。
 
[一部削除訂正] 2013/01/13
[一部削除訂正] 2013/01/20
[追加補足] 2013/01/26

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