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元会計事務所員。税務・会計関係の『積読本』消化をめざして立ち上げた感想文ブログです。

第46回 私の実務必携本(10) 試験研究費(その1)―金額ベースの利用状況は大法人77%・連結18%・中小5%

試験研究費・ソフトウェアの税務
 都井清史著、中央経済社、2008年
試験研究費・ソフトウェアの税務試験研究費・ソフトウェアの税務
(2008/12)
都井 清史

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[購入動機] 内容
[コメント] よくよく吟味された内容。図表化されていて分かりやすいです。

【参考】
「租税特別措置」の総合分析
 末永英男編著、中央経済社、2012
「租税特別措置」の総合分析―租税法、租税論、会計学の視点から「租税特別措置」の総合分析―租税法、租税論、会計学の視点から
(2012/03)
末永 英男

商品詳細を見る

【今回の記事の目次】
 1. 試験研究費の税額控除制度~制度の変遷と利用状況、総額型の特徴
 2. 中小企業の制度の活用状況
 3. 大企業のR&D―有価証券報告書の「研究開発費」の金額
 4. R&Dの内訳と会計・税務の差異

 今回と次回の2回にわたり試験研究費を取り上げたいと思います。今回は本の紹介というよりも、その前段として試験研究費の税額控除制度の概要について記したいと思います(オススメ本のご案内は次回と致しますので、ご容赦下さい<(_)>)


1.
 試験研究費の税額控除制度~制度の変遷と利用状況、総額型の特徴

 国税庁HP「会社標本調査」によるH12~22の試験研究費の税額控除制度の利用状況をグラフ化すると、下図のようになります。

46-image1.jpg
(注)上図は、平成17年分以前については、「2~1月決算ベース」(その年の2月1日から翌年1月31日までに終了した調査対象法人の各事業年度)で集計されており、平成18年以後については年度毎に集計されています。
※H18「会社標本調査」では「2~1月決算ベース」と「年度」の両方の数値が併記されていますが、ここでは「年度」の数値を記載しています。
 

 H16年に控除額が大きく増加していますね(H15の4倍)。これは現在、恒久措置とされている総額型の税額控除H15税制改正により創設された影響によるものと思われます。
 
 近年の試験研究費の特別税額控除の制度改正は下記の通りとなります(中小企業・特別共同研究除く)。
 
 
S46.4.1~H15.3.31
H15.4.1~H18.3.31
H18.4.1~H20.3.31
H20.4.1~
H21.4.1~24.3.31
経済対策
H24.4.1~
H26.3.31
旧増加型
増加×15%
 
 
 
 
税額12%限度
新増加額・高水準型
(総額型と別枠)
 
 
①総額×(8~10%)
②増加×5%
増加×5% 
or (総額-売上10%)×控除率
税額10%限度
総額型
(恒久措置)
 
総額×(10~12%)
総額×(8~10%)
税額20%限度
 
①②同枠で
税額20%限度
税額20%限度
税額30限度
税額20%限度
 
 このH15年改正時の総額型の導入検討では「総額型」と「増加型」の研究開発費税制の特徴を下記のように考えていたようですね。

【参考】 文部科学省 
研究開発費に関する会計基準の変更と企業の研究開発行動」(2003)

総額ベース控除方式
(当時の米国型)
増額分ベース控除方式
(当時の日本型)
・ 誘発額が大きい
・ 政府負担額が多い
・ 制度が簡素
・ 新たに追加的に行う研究開発だけでなく、仮に控除制度がなくても企業が実施したであろう研究開発分に対しても補助をしたこととなる。
・ 効果が低い
・ 政府コストが小さい
・ 増加分を算出する基準の設定が問題
・ 負のインセンティブが存在する(今年度に基準額より多い額の研究開発支出を行った場合、翌年度の基準額が上昇するため、翌年度以降の支出額の増加を抑制する要因となる。そのため、長期的な研究開発投資の増加につながらないおそれ)
                           「政策効果分析レポートVol.12」(H14.8内閣府)
 
 このように「誘発額が大きい」「制度な簡素」総額型H15改正で導入したことにより、H16の同制度の活用状況はH15の4倍にまで伸びました。
 
 末永英男編著「「租税特別措置」の総合分析―租税法、租税論、会計学の視点から」(中央経済社、2012)においても、「このことから「税額控除」の活用は、規定の内容の拡充・縮減に即応していることがわかる。つまり、租税特別措置の「政策目的」としての即効性の手段からすると、「税額控除」は非常に有効な産業政策目的の手段ということを明らかに示すものとなっていることが窺われる」(pp273~274)と述べられており、「政策効果が時機に叶い、迅速に対処しうる点では、他の政策手段である「課税繰延措置」(特別償却)よりは、その政策効果は高い」(p278)と指摘しています。
 
 一方、H20以降の大きな減少については、税額控除の内容が縮減されたこともありますが、この時期の企業の研究投資の落ち込みの影響が大と思われます。総務省が毎年公表している科学技術研究調査の企業部門の研究開発費(内部使用研究費)な下図のようなトレンドになっています。特にH21の落ち込み(前年比12.1%)は大きく、公的機関を含めた全体でも8.3%減。これはS28の調査開始以来、最大の減少幅であったそうです。上の税額控除のトレンドとは若干(1年ほど)ズレますが、概ね開発費支出減に傾向に沿った形となっていると思われます。制度との兼ね合いを言えば、H20~22あたりですと増加型を採用する企業も少なかったかもしれません。

46-image2.jpg
 
 
【参考】総務省 科学技術研究調査(H24)
【参考】総務省 H23.4.21
企業等の研究費―科学技術週間(4/18~4/24)にちなんで(科学技術研究調査の結果から)
 
 
 
2. 中小企業の制度の活用状況

 これら試験研究費の税額控除制度は、中小企業も利用できれば、とても助かる制度なのですが、巷間では大企業によく利用されていると言われています。こちらも「会社標本調査」で、資本階級別の各控除制度の利用状況を確認することができます。

46-image3.jpg
 
 こう見ると、大企業の控除金額のインパクトは大きいですね。
 事業年度数ベースですと、単独(1億円以下)・単独(1億円超)・連結の構成比は、それぞれ68%・31%・1%なのに対し、金額ベースですと、5.1%・77.2%・17.7%となります。
 
 前述の「租税特別措置の総合研究」(2012)では下記のように述べています。
【引用】 pp275
 (その活用状況(金額ベース)から)そのほとんどが資本金1億円以上の大規模の法人企業であって、資本金1億円未満の中小法人企業にはあまり活用されていない。いうまもなく、「税額控除」は、納税する法人税額から直接免除される「完全免税措置」のものであるので、損法人企業の場合には活用できないことになる。このような観点からすると、法の予定する現状の実態は、大規模の法人企業のみに機能することとなり、中小の法人企業は、ほとんど適用がなされていないということがいえよう。
 
 加えて、制度選択の話にも触れておくと、資本金1億円超の会社の総額型適用会社2,052件(約78%)、増加型適用会社568件(約22%)と総額型適用会社が多いのに対し、資本金1億円以下の会社中小特例適用が最も多い4,026件(69%)のは当然として、総額型適用会社504件(約9%)、増額型適用会社1,284件(約22%)と、増額型適用会社の方が多いのことが読み取れます(連結会社除く)。
 
 
 
 
 
3. 大企業のR&D―有価証券報告書の「研究開発費」の金額

 では、大企業の研究開発費について、有価証券報告書のデータを確認してみましょう。それには便利なサイトがあります。

【参考】 
研究net 企業R&Dデータベース
 
 こちらによる直近(主に2012年3月期)の有価証券報告書(連結ベース)の研究開発費TOP20は次のとおりです。

研究開発費BEST20 (研究net 企業R&Dデータベースより 単位:百万円  2013.2検索
 
 
業界
研究
開発費
売上比
売上高(連)
決算
1
トヨタ自動車
輸送用機器
779,806
4.20%
18,583,653
2012.3
2
パナソニック
電気機器
520,217
6.60%
7,846,216
2012.3
3
本田技研工業
輸送用機器
519,800
6.50%
7,948,095
2012.3
4
ソニー
電気機器
433,500
6.70%
6,493,212
2012.3
5
日産自動車
輸送用機器
428,000
4.50%
9,409,026
2012.3
6
日立製作所
電気機器
395,100
4.20%
9,315,807
2011.3
7
東芝
電気機器
319,900
5.20%
6,100,262
2012.3
8
キヤノン
電気機器
307,800
8.70%
3,557,433
2011.12
9
デンソー
輸送用機器
298,362
9.50%
3,154,630
2012.3
10
武田薬品工業
医薬品
281,900
18.70%
1,508,932
2012.3
11
富士通
電気機器
238,300
5.30%
4,467,574
2012.3
12
アステラス製薬
医薬品
189,800
19.60%
969,387
2012.3
13
第一三共
医薬品
185,052
19.70%
938,677
2012.3
14
ルネサスエレクトロニクス
電気機器
182,500
20.70%
883,112
2012.3
15
富士フイルムHD
化学
173,373
7.90%
2,195,293
2012.3
16
三菱電機
電気機器
169,600
4.70%
3,639,468
2012.3
17
日本電気
電気機器
161,968
5.30%
3,036,836
2012.3
18
大塚ホールディングス
医薬品
159,229
13.80%
1,154,573
2012.3
19
シャープ
電気機器
154,798
6.30%
2,455,850
2012.3
20
日本電信電話
情報・通信
125,500
1.20%
10,507,362
2012.3
 
 お分かりの通り「輸送用機器(主に自動車)」「電気機器」「医薬品」の3業種でほぼ上位を独占しているような感じです。この「企業R&Dデータベース」で見ると、自動車業界・電気機器業界で売上比4~6%医薬品業界で売上比15~20%の研究開発費を投じている会社が多いようですね。
 
 前述の総務省「H23.4.21 企業等の研究費 科学技術週間(4/18~4/24)にちなんで (科学技術研究調査の結果から)」(H23)でも、次のような資料を示しています。
※業種等は「企業R&Dデータベース」と少し異なります。
 
図1 産業別企業等研究費の構成比 
(総務省「科学技術研究調査」より)
産業
研究費(億円)
構成比(%)
(参考)全産業
119,838
100.0
輸送用機械器具製造業
19,789
16.5
 自動車・同附属品製造業
19,288
16.1
 その他の輸送用機械器具製造業
501
0.4
情報通信機械器具製造業
17,724
14.8
医薬品製造業
11,937
10.0
業務用機械器具製造業
9,970
8.3
電気機械器具製造業
9,610
8.0
化学工業
7,552
6.3
電子部品・デバイス・電子回路製造業
6,783
5.7
学術・開発研究機関
6,757
5.6
生産用機械器具製造業
4,083
3.4
はん用機械器具製造業
2,686
2.2
通信業
2,637
2.2
情報サービス業
2,524
2.1
食料品製造業
2,420
2.0
その他
15,366
12.9
 
表1 産業別売上高に対する研究費の比率(製造業上位10産業) 
(総務省「科学技術研究調査」より)
順位
産業
比率
(%)
売上高
(億円)
研究費
(億円)
1位
医薬品製造業
11.66
102,377
11,937
2位
業務用機械器具製造業
9.43
105,773
9,970
3位
情報通信機械器具製造業
6.29
281,612
17,724
4位
電気機械器具製造業
6.11
157,328
9,610
5位
電子部品・デバイス・電子回路製造業
5.65
120,093
6,783
6位
自動車・同附属品製造業
4.76
405,324
19,288
7位
生産用機械器具製造業
4.51
90,550
4,083
8位
ゴム製品製造業
4.47
34,529
1,545
9位
繊維工業
4.06
28,599
1,162
10位
化学工業
3.85
196,027
7,552
 
表2 産業別研究者1人当たりの研究費(製造業上位10産業)
(総務省「科学技術研究調査」より)
順位
産業
研究者1人当たり研究費(万円)
研究費
(億円)
研究者
(人)
1位
医薬品製造業
5,793
11,937
 20,606
2位
鉄鋼業
3,192
1,493
 4,676
3位
自動車・同附属品製造業
3,066
19,288
 62,900
4位
石油製品・石炭製品製造業
2,967
509
 1,716
5位
窯業・土石製品製造業
2,613
1,443
 5,525
6位
業務用機械器具製造業
2,531
9,970
 39,388
7位
非鉄金属製造業
2,367
1,527
 6,452
8位
繊維工業
2,332
1,162
 4,982
9位
電気機械器具製造業
2,312
9,610
 41,560
10位
ゴム製品製造業
2,275
1,545
 6,790
 
 
 この数字を見て、トヨタは779,806百万円×10%=77,980百万円ぐらいの税額控除を取っているのではないか?という大雑把な記事(新聞・ブログ等)を、たまに見かけます(この試算が正しければ、この制度の20%を同社が利用)。「大企業イジメ」の一つのネタになっている感じですが、私はそれ程控除は取っていないと思っています
 
 2012年3月期のトヨタ自動車の有価証券報告書を見ると、(連結)で税金等調整前当期純利益432,873百万円に対し、法人税等262,272百万円。法人税等の実効税率の資料を見ると実効税率60.6%とあります。その内訳では控除税額は△1.8%。これを金額に直すと控除税額は262,272百万円×1.8%/60.6%=7,790百万円。これには大企業の多くで適用される外国税額控除や所得税額控除も含まれているものと思われます。
 
 更に(単体)では税引前利益23,098百万円。法人税・住民税及び事業税15,800百万円、法人税等調整額△28,546百万円で、純額の法人税等は△12,746百万円となっています。実効税率の資料では、実効税率△55.2%、試験研究費の差異表示はなく、外国税額控除は△24.2%と記載されています。これを金額に直すと12,746百万円×24.2%/55.2%=5,587百万円となります。
 
 とするならば、(連結)の控除税額7,790百万のうち、トヨタ自動車(単体)の外国税額控除が5,587百万ですから、試験研究費の特別控除はその差引の2,203百万円を超えないのではないか―少なくとも77,980百万円も適用しているようには思えません。ちなみにトヨタ自工ははじめ、上記の自動車各社(デンソー以外)は、連結納税を採用しております。H22実績ですと連結法人の全体の利用額は74事業年度で66,047百万円なんですから、何でそんな話が出てくるのか不思議ではあります…。
 
 会計上の研究開発費と税務上の試験研究費との間には意外とギャップがある―ということなんてしょうね。(2003年の文部科学省の報告「研究開発費に関する会計基準の変更と企業の研究開発行動」より)

46-image4.jpg
 
 
 
 
4. R&Dの内訳と会計・税務の差異

 それでは会計の研究開発費と税務上の試験研究費との間にギャップがあるとして、そもそも、これらの費用はどのようなもので構成されているのでしょうか。ヒントとして総務省「科学技術研究調査」(H24)で企業部門の内部使用研究費の内訳が示されています。
 
H24 総務省 「科学技術研究調査」より
企業 内部使用研究費(億円)
受入研究費
外部支出
研究費
総額
人件費
原材料費
有形
固定資産
リース料
その他
経費
122,718
52,365
19,723
8,570
539
41,521
12,772
20,086
100.0%
42.7%
16.1%
7.0%
0.4%
33.8%
 
 都井清史著「試験研究費・ソフトウェアの税務」(中央経済社、2008年)によれば、税務調査のウェイト人件費:物件費:その他貯蔵品は7:2:1(p67)のイメージとされていますが、上の内訳構成からもそのことが覗えます。
 
1)人件費の「専ら」要件
 上記のように研究開発費中に人件費が占める割合が多いことから、試験研究費も同様の傾向があると読み取られ、賞与引当金・退職給付引当金の配賦額その他人件費関係で税務調整を要するものをチェックすることの他、この人件費には「専ら」という要件というものが付きます。
 「試験研究費・ソフトウェアの税務」では次のように記されています。
【引用】 p67~68
 この制度の大きなポイントは人件費についての専ら要件です。(中略)人件費は「専門的知識をもって当該試験研究費の業務に専ら従事する者に係るもの」に限って試験研究費に含めることができ(措令27の4⑥)、この要件を満たしていない場合には制度の適用を受けることができません。

 これに関して、租税特別措置法基本通達では以下のように定めています。

租税特別措置法42の4(1)-3 (試験研究費に含まれる人件費)
 措置法第42条第11号第一号に規定する試験研究費(以下「試験研究費」という)に含まれる人件費は、専門的知識をもって専ら従事する者に係るものをいうのであるから、例え研究所等に専属するものであっても、例えば事務職員、守衛、運転手等のように試験研究に直接従事していない者に係るものは、これに含まれないことに留意する。

 ただ、これは当然の事を述べたに過ぎず、実務的にはグレーゾーンが存在します。具体的には、研究を行う管理職の人件費がグレーゾーンに該当し、実務上は研究室の室長の人件費が問題となります。研究所長副所長の人件費は、これらの人が研究に没頭していない限り組織の運営が主たる業務であるとの想定から、一般的には試験研究費に含めることができません。一方、研究室長の多くの場合プレーイングマネージャーで、研究を行っていながら部下の管理を行っていることが普通です。この場合、部下の管理を行っている側面を捉えれば、専ら要件を満たさないこととなります。過去の税務調査事例では職員の人事管理を行っている旨の説明を行った際には専ら要件を満たさないものと判断され、試験研究のプロジェクトを管理している旨の説明を行った際専ら要件を満たすと判断された例があります。このように非常に判断が難しい境界線といえます。税務調査に際しては、室長へのヒアリングを想定し、税務調査の予行演習を行っておくことをお勧めします。

【参考】 中小企業庁照会 
試験研究費税額控除制度における人件費に係る「専ら」要件の税務上の取扱いについて(通知) 課法2-28 平成15年12月25日

【参考】 国税庁HP 質疑応答事例 
試験研究費に含まれる人件費の範囲
 
また、事例研究の中では次のようにも述べています。
【引用】 p72
 独立した研究所がなく、研究業務と工場の通常業務との双方の業務に従事している事務職員等の給料等は、試験研究費には該当しない。また、製造部門の技師が試験研究を行っても、その者の人件費は試験研究費とはされない。
 すなわち、人件費については、水道光熱費等の経費のような按分計算はしないで、専任の者の人件費は全額試験研究費とするが、兼務者の人件費は、たとえ試験研究の業務に従事していたとしても試験研究費には該当しない。
 となると、会計で研究開発費に計上している人件費の中でも、税務上の試験研究費とすべきものは割と限定的になってくる場合があります(システム上のコード区分管理が必要そうですね)。
 
 
2)特定の研究開発目的の機械装置等の会計処理
 他に規定上、会計と税務で差異が考えられるものについては、特定の研究開発目的の機械装置等の処理があります。会計制度委員会報告第12号研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」の「5 特定の研究開発目的の機械装置等の会計処理」では次のように定められています。
5.特定の研究開発目的にのみ使用され、他の目的に使用できない機械装置や特許権等を取得した場合の原価は、取得時の研究開発費として処理する。ここでいう「特定の研究開発目的にのみ使用され、他の目的に使用できない」とは、特定の研究開発プロジェクトの目的のみに使用され、他の研究開発プロジェクトには使用することが機能的・物理的にできないことをいう。
 会計では、特定の研究開発目的の機械装置は汎用性がなく、研究開発プロジェクト終了後も転用可能性がないものならば、資産計上せず、費用処理を要求しているものと思われます。ただ、税務ではそのような考慮はせず資産計上すべきものとされますので、ここの会計・税務のギャップがある訳です。
 
 ただ、この処理に関しては、2003年の文部科学省の報告「研究開発費に関する会計基準の変更と企業の研究開発行動」には、下記のように記されています。
 
【引用】 p23
(2)研究開発費の発生時処理について
①有価証券報告書による分析
 化学工業の企業A5が唯一、繰延処理をしており、有価証券報告書に「当事業年度より研究開発費(ソフトウエア制作費を除く)については、「研究開発費及びソフトウエアの会計処理に関する実務指針」(平成11年3月31日日本公認会計士協会・会計制度委員会報告第12号)に基づき、全て発生時に費用処理する方法に変更。」と記述されていた。
 本調査での有価証券報告書調査対象企業のほとんどは、会計基準変更以前から研究開発費を発生時に費用処理する方法を採用していた。これらの企業はインタビュー調査でも、前述の定義や範囲に関連しまったく影響がなかったという意見が多数を占めた。

 しかしながら、影響がまったくないと回答した企業でも、「研究開発費の有形固定資産のうち特定の研究開発目的だけに使用される機械装置等について、従来は資産計上していたが、会計基準の設定にともない発生時費用処理にした関係で、その分の研究開発費が従前に比べわずかではあるが増加している」と回答した企業も若干見受けられた。ただし、その場合でもその数は研究開発費の総体に対して1%以下のわずかなものである。

 このような企業がある反面、「特定の研究開発目的だけに使用される機械装置等に該当するものがまったくない」という企業も多く、具体的な額や割合を把握することは困難である印象を受けた。
 こちらは、この当時(H15)は実態として特定の研究目的の機械装置等は少なかった―という認識であったようですね。有りそうで、なかった…という感じでしょうか。今現在ではどのようになっているのでしょうかね(「物は言いよう」の部分はありますが…)。

 他にも当期製造費用中の研究開発費は、製造原価構成分(損金算入分)のみが試験研究費に該当し、税務上は一定の簡便計算も認められている(法基通5-3-5の準用)―等の取扱があります。

 次回はオススメ本の紹介になります(つづく)<(_)>

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いつも長文で申し訳ございません<(_)>
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