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元会計事務所員。税務・会計関係の『積読本』消化をめざして立ち上げた感想文ブログです。

第48回 今日的確定申告(1) 株式譲渡所得―LDH(旧ライブドア)の残余財産の分配は「みなし譲渡」

譲渡所得・山林所得・株式等の譲渡所得等関係
租税特別措置法通達逐条解説
 阿部輝男著、大蔵財務協会、2010
譲渡所得・山林所得・株式等の譲渡所得等関係 租税特別措置法通達逐条解説〈平成22年版〉譲渡所得・山林所得・株式等の譲渡所得等関係 租税特別措置法通達逐条解説〈平成22年版〉
(2010/04)
阿部 輝男

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[購入動機] 書名・内容
[コメント] 案外使いますよ!個人の場合の株式譲渡の通達も

【今回の記事の目次】
1. 平成24年分のLDH(旧ライブドア)株式の残余財産の分配―「みなし譲渡」発生
2. LDHの取得価額計算―過去に「資本の払戻し」が5回あり!
3. 株式譲渡所得のおススメ本―個人的には案外使う!措置法逐条解説

 私の実務必携本は一旦お休みして、「旬」のお話をしばらくしたいと思っております。


1. 平成24年分のLDH(旧ライブドア)株式の残余財産の分配―「みなし譲渡」発生

 一世を風靡したライブドアですが、「ライブドアホールディングス」「LDH」と商号を変更後、平成23年8月に臨時株主総会において解散決議に至りました。昨年(平成24)年9月には、株主に残余財産分配金の計算書が送付されています(1年で清算できたようですね。既に同社のHPすら残っていません…)。
 
 この「法人の解散による残余財産の分配」により金銭等を受けた場合には、
1) 所得税法第25条第1項第3号事由による「みなし配当」
2) 租税特別措置法第37条の10第3項第3号事由による「みなし譲渡」
  の規定が適用されます。
 
 LDHからの通知によれば、(1)の「みなし配当」は計算上生じなかったようです(交付金銭等が資本金等の額を上回らなかった)。したがって、この分配金を受け取った方については、平成24年分の(2)の「みなし譲渡」の有無を検討することになります。この「みなし譲渡」の計算の概要については、租税特別措置法通達37の10-26(譲渡所得等に係る収入とみなす金額等―資本の払戻し等の場合)に、判り易く説明されています。
 
【参考】
3710-26 
(譲渡所得等に係る収入金額とみなす金額等-資本の払戻し等の場合)

 措置法第37条の10第3項第3号に規定する「法人の資本の払戻し」又は「法人の解散による残余財産の分配」(以下この項において「資本の払戻し等」という。)により金銭その他の資産(以下この項において「金銭等」という。)の交付を受けた場合のその有していた資本の払戻し等を行った法人の株式(以下この項において「旧株」という。)に係る譲渡所得等の収入金額とみなされる収入金額及当該収入金額から控除すべき取得価額は、それぞれ次の算式によって計算した金額となることに留意する。

収入金額とみなされる金額
= 資本の払戻し等により取得した金銭等の価額の合計額 - みなし配当額

取得価額
= 旧株の従前の取得価額の合計額 × 純資産減少割合
 
(注)「純資産減少割合」は、所得税法令第61条第2項第3号に規定する割合で、次により計算した割合(資本の払戻し等を行った法人の当該資本の払戻し等の直前の資本金等の額又は連結個別資本金等の額(以下この項において「直前資本金額等」という。)が零以下である場合には零と、直前資本金額等が零を超え、かつ、次に掲げる算式の分母の金額が零以下である場合又は直前資本金額等が零を超え、かつ、残余財産の全部の分配を行う場合には1とし、当該割合に小数点以下3位未満の端数があるときは切上げ)をいう(以下この項において同じ。)。


48-図1 

(注) その法人の資本の払戻し等の日の属する事業年度の前事業年度等の終了の時による。

 また、当該資本の払戻し等があった日以後における旧株1株当たりの取得価額は、同令第114条第1項《資本の払戻し等があった場合の株式等の取得価額》の規定により、次の算式によって計算した金額となる。

48-図2
 簡記すれば、
① 収入金額は交付金銭等の合計額からみなし配当を除く
② 取得価額は旧株の従前の取得価額合計額に純資産価額減少割合を乗じて求める
③ みなし譲渡があった後の取得価額は、みなし譲渡分を減額修正する(所令114①)
3点が記されています。
 
 尚、株式を発行する法人は、所令114①の払戻し等を行った場合には、その払戻し等を受けた個人に対し、当該払戻し等に係る「純資産減少割合」を通知する義務があります(所令114⑤)
 
 また、この「みなし譲渡」の認識時期(「収入すべき時期」)は、租税特別措置法通達37の10-1(株式等に係る譲渡所得等の総収入金額の収入すべき時期)において、下記のように定められています。
 ・ 「資本の払戻し」の場合 … 剰余金に配当がその効力を生ずる日
 ・ 「解散による残余財産の分配」の場合 … 分配開始の日
 
 
 
2 LDHの取得価額計算―過去に「資本の払戻し」が5回あり!

 上記通達に当てはめて取得価額を計算したいところですが、少し厄介なのが、LDHは平成24年の残余財産の分配までにも、計5回にわたる資本剰余金の配当(資本の払戻し)が行われているところです。つまり、第1回の払戻しから「みなし配当」事由及び「みなし譲渡」事由は生じていた訳ですが、どれも「みなし配当」は発生せず、「みなし譲渡」の有無が検討していく―という状況でした(株主さんはもう慣れたものかもしれませんね)。
 
LDHの配当・純資産減少割合(※)
 
効力発生日
配当原資等
1株当たりの金額
みなし配当
純資産
減少割合
1
H21.6.30
資本剰余金の配当
6,500円
なし
0.416
2
H21.11.17
資本剰余金の配当
1,600円
なし
0.176
3
H22.6.28
資本剰余金の配当
2,500円
なし
0.334
4
H23.3.2
資本剰余金の配当
800円
なし
0.160
5
H23.5.20
資本剰余金の配当
400円
なし
0.125?
6
H24.9.11
残余財産の分配
1,134円
なし
1.000
(※)こちらは伝聞情報ですので、正確なところや詳細は株主名簿管理人(三菱UFJ信託銀行)にご確認下さい(封筒等に連絡先の記載あり)。
 
 また、LDH株式は100株→1株の株式併合が行われていますので、これを考慮した平成24年の取得原価は、端数等を考えず、ざっと計算すると
当初取得価額(併合前)×100
×(1-0.416)×(1-0.176)×(1-0.334)×(1-0.160)×(1-0.125?)
= 当初取得価額(併合前)×100×約0.23556?
と、当初取得価額(併合前)×100の約23%となります。
 
 まあ近鉄球団売買騒動当たりで株式分割(10株→1株)があった辺りから、強制調査(H18.1)までの旧ライブドアの株価は、東洋経済の「株価総覧」などによれば、、
 H16.7~H16.12 最高値 1,205円 最安値 301円
 H17.1~H17.12 最高値 794円 最安値 292円
 ですので、最安値の@292円(併合前)で購入しても、譲渡収入@1,134(併合後)に対し、原価5,396円ぐらいですから、譲渡益は生じない感じですよね(ただ、取得価額が明らかでないと、概算取得費5%などと言われかねないので、申告しなくても、取得価額資料は一応しばらくは取っておいた方が良いかもしれません)。
 
 一方、上場廃止直前(H18.4)に1株当たりの純資産価額を株価が下回ったのを見計らって購入された方は、譲渡益が出るかもしれません。そのような方は、そもそも平成21年の時点で「みなし譲渡」が生じている方でしょうから、この辺りは、よく分かっていらっしゃるなあ…と思います。
 
 
 
 
3. 株式譲渡所得のおススメ本―個人的には案外使う!措置法逐条解説

 上記の件などを含め、株式譲渡(一般)のおススメの本としては、個人的には次のものを推します。
1) 「問答式 株式譲渡益課税のすべて」、大蔵財務協会

※番外
「図解・表解 確定申告書の記載 チェックポイント」、天池健治ほか、中央経済社
 (1)の問答式のものはFAQをよく網羅しているなあ―と感じます。「ストックオプションの各種特例の適用関係」「上場株式の自己株式の公開買い付けに応じた場合」「売委託の範囲」「投資顧問料の必要経費算入」などの論点も取り扱っています。
 
 (2)は会計事務所の方向けです。法人税なら本法通達に書いていそうなことも、個人の株式関係の通達は「措置法」です。同業の方の話を聞くと、こちらのものは揃えていない方が案外いらっしゃるような気がしますね。手許にあれば、「意外と使う」、よい本なのになあ―とは感じております。
 
 (3)は株式関係に特化したものではないですが、「所得の50音順判定表」というものがついていて、近年増えてきたよく分かりづらい金融商品が何所得か50音順でリスト化されているので重宝すると思います(こちらは機会を設けて、取り上げたいと思っています)
 
 こちらの分野は、「上場株式」「特定口座」を主論点としたもので、判り易くまとめられたものも多いですよね。
 
 まあ、これから3/15までの1カ月間、しんどいですが頑張りましょう!


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