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元会計事務所員。税務・会計関係の『積読本』消化をめざして立ち上げた感想文ブログです。

第50回 今日的確定申告(3) グリーン投資税制・補助金―電力売買の取扱い/所法42に「先行取得」はあるのか?

税理2013年1月号
「電力売買取引を行った場合の税務の取扱い」(pp144~pp151)

税理 2013年 01月号 [雑誌]税理 2013年 01月号 [雑誌]
(2012/12/21)
不明

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[購入動機] 取引相場のない株式の特集だったので。
[コメント] こちらの記事をはじめ、興味深い話が多い号でした。

【今回の記事の目次】
1. 電力売買の所得税の取扱い―税理2013年1月号 飯塚先生の記事
2. 補助金―所42「国庫補助金等の総収入金額不算入」は「先行取得」でも適用できるのか?
3. 感想等

1. 電力売買の所得税の取扱い―税理2013年1月号 飯塚先生の記事

 今日的なキーワードに「環境」があります。既にクリーンなエネルギー開発の国策の一環として、太陽光発電の普及推進を狙った「余剰電力買取方式」による「電力売買制度」が平成21年11月にスタートしていましたが、平成24年7月からは「全量買取方式」による売買制度も導入されました。

 この論点について、税理2013年1月号において税理士の飯塚美幸先生が「電力売買取引を行った場合の税務の取扱い」として8頁に渡り要約しており、興味深く拝見させて頂きました(pp144~151)。
 
 全量売電の導入状況に関して、飯塚先生は次のようにまとめています。
【引用】 税理2013年1月号
全量売電事例の増加
 太陽光発電への関心の高まりの中で、太陽光発電設備を土地に直接設置することは都市部においては難しく、多くは既存建物の屋上に設置することになる。また、既存建物といっても、10kw以上の太陽光発電パネルを設置できるのは、屋上面積が最低120㎡程度要求されることから、賃貸マンションや賃貸ビルの屋上程度以上の広さが必要とされ、結果的に、都市部での太陽光発電設備が賃貸建物上に設置されるケースが増加している。ちなみに荷重は10kw以上のパネルは200kg以上となるが、これは瓦屋根の半分程度の比重しかないため、荷重が問題となることはないとのことである(メーカーS社小規模産業部門回答)。

 ところが、平成24年7月に全量買取制度がスタートして以降も、国税庁ホームページには余剰電力買取についての質疑応答が掲載されたままであった。そのため、全量買取りの場合も、余剰買取りの場合と同様に不動産所得と取扱い、かつ、グリーン税制不適用と取扱うといった議論も多々聞こえ、設備導入を逡巡させる状況があった。
 このような状況下で、平成24年11月に国税庁HP質疑応答に全量売買の取扱いが掲載されます。飯塚先生の要約を更に図表化すると、下記の通りとなります。
 
税理2013年1月号記事の要約
 
余剰電力買取制度の場合
         (発電量-自己使用分)
全量買取制度の場合
 
H21.11スタート
10Kw未満のみ。10年間
H24.7 スタート
10Kw未満・10kw以上可
自宅に設置した太陽光発電設備による売電収入
所得区分:雑所得
(給与所得者の場合、20万円以下申告不要)
減価償却は、発電送電を行う機械装置として「55前掲以外のもの」「その他の設備」「主として金属製」の耐用年数17年。
必要経費割合は、売電量/発電量
所得区分:雑所得(or事業所得)
事業として行われる場合を除き、雑所得。
自宅兼店舗に設置した太陽光発電設備よる売電収入
所得区分:事業所得
電気メーターが一つしかない場合の店舗併用住宅の場合、事業付随収入として取り扱われる。
必要経費割合は、事業使用割合(面積等)と売電割合(売電量/発電量)による。
措法10条の2の2の適用にあっても事業割合按分を行う。
所得区分:事業所得
(左と扱いの変更なし)
 
 
賃貸アパートに設置した太陽光発電設備による売電収入
所得区分:不動産所得
賃貸アパート屋上の太陽光発電設備を設置し、共用部分で使用する場合、不動産所得。
尚、措法10条の2の2は事業所得の特例のため適用できない。
所得区分:雑所得(or事業所得)
不動産所得との関連性が認められないため、事業として行われる場合を除き、雑所得。
 
 租税特別措置法第10条の2の2とは「グリーン投資税制」―対象設備(4分類29設備)を取得・1年以内事業供用で、30%の特別償却又は即時償却、ないしは7%税額控除がとれる制度(現行H24.7.1~H25.3.31)―です。確かに条文上、事業所得だけの特例のようですね。賃貸アパート設置の全量買取の売電で、この制度の取扱いがハッキリしないというのはキビしいです。とはいえ事業所得か雑所得かの問題は残されることとなります。
 
 
 
 
2. 補助金―所42「国庫補助金等の総収入金額不算入」は「先行取得」でも適用できるのか。

 他に太陽光発電設備は、種々の補助金の制度があります。平成24年分の確定申告では、電気自動車(日産のリーフや三菱のi-MiEV)の「クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金」(次世代自動車振興センター)などもありますね。
 
 これらの補助金については、所得税法第42条(国庫補助金等の総収入金額不算入)の規定により、確定申告書に一定の書類等の添付することにより、総収入金額に計上しない取扱いを受けることができます。
(国庫補助金等の総収入金額不算入)
第四十二条  居住者が、各年において固定資産(山林を含む。以下この条及び次条において同じ。)の取得又は改良に充てるための国又は地方公共団体の補助金又は給付金その他政令で定めるこれらに準ずるもの(以下この条及び次条において「国庫補助金等」という。)の交付を受け、その年においてその国庫補助金等をもつてその交付の目的に適合した固定資産の取得又は改良をした場合には、その国庫補助金等の返還を要しないことがその年十二月三十一日(その者が当該取得又は改良をした後その年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時)までに確定した場合に限り、その国庫補助金等のうちその固定資産の取得又は改良に充てた部分の金額に相当する金額は、その者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。
 この総収入金額に算入されなかった金額は、取得した固定資産の取得価額から減額しますので(所令90)、法人税での「圧縮記帳」と同じ制度です。
 
 事業者などはこの取扱いを受けることができるのですが、給与所得者などは、この適用を受けなることができないため、取得した補助金については一時所得として取り扱われます。
 
 これについては所得税基本通達34-1(一時所得の例示)の中で、
9) 法第42条第1項《国庫補助金等の総収入金額不算入》又は第43条第1項《条件付国庫補助金等の総収入金額不算入》に規定する国庫補助金等のうちこれらの規定の適用を受けないもの及び第44条《移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入》に規定する資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金のうちその交付の目的とされた支出に充てられなかったもの
として掲記されています。
 
 ここで法人税法と比較すると、所得税法の規定は、さほど詳細なものではありません(法人税のように簿価を1円残すように―というような規定もありません)。明細も驚くほどさっぱりしています。
 
【参考】
国庫補助金等の総収入金額不算入の明細

 となると法人税法では当然と思っていた取扱いが、実は所得税法では規定されていないのでは…と心配なさる方もいらっしゃるのではないでしょうか。例えば、平成24年において固定資産は取得したが、補助金の交付は年明けになってしまった場合―法人税法では、法基通10-2-2(固定資産の取得等の後に国庫補助金等の交付を受けた場合の圧縮記帳)に取扱いが明記されていますが、所得税法ないしは通達ではこのような規定は設けられていません。では、所得税法では適用がない―ということになるのでしょうか。
 
【参考】 
法基通10-2-2 固定資産の取得等の後に国庫補助金等の交付を受けた場合の圧縮記帳

 これについては、東京国税局のH22.2.9付「事前照会に対する文書回答事例」に「個人事業者が、固定資産を取得した後で国庫補助金等の交付を受ける場合の課税上の取扱いについて」というものが掲載されています(私立幼稚園の経営者の方からの照会のようです)。
 
【参考】 国税庁HP 東京国税局 事前照会に対する文書回答事例
個人事業者が、固定資産を取得した後で国庫補助金等の交付を受ける場合の課税上の取扱いについて

 内容としては法基通10-2-2と同趣旨のものですね(照会の文中でも所法42では総収入金額・減価償却資産の調整計算の規定がないと指摘しています)。もし、このような「先行取得」があった場合には、「国庫補助金等の総収入金額不算入の明細」の備考欄に「H22.2.9付 東京国税局 事前照会に対する文書回答事例に掲載された調整計算による」として、別紙計算を添付する形になるのでしょうかね。
 
 
 
 
3. 感想等

 租税特別措置法第10条の2の2の「グリーン投資税制」が事業所得しか使うことができないというのは勉強になりました<(_)>。だけど、上の取扱いでは「余剰電力買取方式」で賃貸アパートに太陽光設備を設置した場合は、少し可哀想ですね。
 
 ところで「携帯電話の充電サービス」や、ゆくゆく始まる「電気自動車の充電サービス」は売電には当たらないのでしょうか?これについては「ヤフー知恵袋」で回答されている方がいらっしゃいました。「売電行為ではあるものの、電気事業主としての規制はない」ということのようです。
 
 皆さん、物知りですね~
 
【参考】 ヤフー知恵袋 
お店などに置いてあるケータイのコイン式充電BOX は売電には当たらないのですか?
 
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