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第52回 今日的確定申告(5) 相続時精算課税―「改製原戸籍の附票」が廃棄されたらどうしましょう?

「民法による 遺産分割の手続と相続税実務」(第五訂版)
 小池正明著、税務研究会出版局、平成21年
民法・税法による遺産分割の手続と相続税実務民法・税法による遺産分割の手続と相続税実務
(2009/12)
小池 正明

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[購入動機] 内容
[コメント] 相続の際の、リファレンス用として良く用いました。
 ※2012年新訂版が発売されています。
【今回の記事の目次】
 1. 精算課税の添付書類―受贈者の「戸籍の附票」
 2. 戸籍の取り方と見方―相続権者の特定
 3. 感想等


 
1. 精算課税の添付書類―受贈者の「戸籍の附票」

 相続時精算課税の適用を受ける場合には、贈与税の確定申告書に、さまざまな添付書類が要請されていますが、その中の一つに受贈者の「平成15年1月1日以降 の住所履歴がわかる戸籍の附票」があります(相続税法施行規則第11条①一)。
 
 「戸籍の附票」は、住民票と戸籍の二つの「住所の移転履歴」によりリンクするもの―などとも呼ばれており、この「住所の移転履歴(連続性)」を証明するものの一つとなっています。ウィキペディアには住民票による証明方法と戸籍の附票による証明方法のメリット・デメリットを次のように記しています。
 
 
証明方法
保存期間
メリット
デメリット
住民票
の写し
同一市区町村内での異動、および該当市区町村の直前の住所
住所を異動してから5年(市区町村による)
同一市区町村内での異動履歴、またはその市区町村に入る直前の住所からの異動履歴に関しては、現在居住している市区町村で発行する住民票の写しで証明できる
①市区町村をまたいだ住所異動を繰り返した場合、異動した全ての市区町村の住民票の写しが必要になる
②住民票の最低保存義務は住所の異動後5年間であり、異動から時間が経っている場合、記録そのものが残っていない場合がある
戸籍の附票の写し
該当戸籍に入った時点の住所から該当戸籍から除かれた時点の住所まで
戸籍を異動してから5年(市区町村による)
①戸籍の異動を行っていない場合、何度住所の異動をしたとしても1箇所への請求で証明できる
②住民票同様最低保存義務は5年だが、本籍の異動を行っていない場合、履歴の廃棄が行われる可能性が少ない
①請求先は本籍地の市区町村のため、居住地とは違う市区町村に請求しなければならない場合がある
②戸籍の異動を行っていた場合、住民票の写しを用いるよりも証明が難しくなる場合がある
 
 上記にあるように転籍等をしている場合には、戸籍の附票でも、住民票(の除票)でも、保存期間が5年となっています。これに関しては、平成16年の国税庁の質疑応答では次のように述べています(平成16年1月20日)
 
[戸籍の附票の写しで20歳以上になった時以後の住所が証明されない場合の相続時精算課税選択届出書の添付書類]
 
問2
 35歳の子が父より贈与を受けた財産について相続時精算課税の適用を受けるために、相続時精算課税選択届出書の添付書類の一つである戸籍の附票の写しの交付を受けたが、25歳の時に結婚したことから結婚前の戸籍の附票の保存期間が過ぎておりその写しの交付は受けることができなかった。
 
 この場合、交付を受けることができた戸籍の附票の写しのみの添付では、20歳から25歳までの期間の住所又は居所が証明できていないことから、相続時精算課税の適用を受けることはできないのか。
 
 
(答)
 相続税法施行規則第11条第1項第1号においては、相続時精算課税選択届出書の添付書類の一つとして「相続時精算課税選択届出書の提出をする者の戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍の附票の写しその他の書類でその者の氏名、生年月日及びその者が20歳に達した時以後の住所又は居所並びに…を証する書類」が掲げられている。
 
 したがって、問いの場合には、交付を受けることができた戸籍の附票の写しのみの添付では、20歳から25歳までの期間の住所又は居所が証明できていないため、上記の書類の添付がされていないこととなり相続時精算課税の適用を受けることはできないが、その期間の住所又は居所を確認できる書類と交付を受けることができた戸籍の附票の写しを相続時精算課税選択届出書に添付されれば、相続時精算課税の適用を受けることができる。
 
 
 案外怖いことが書いてありますね(適用できないなんて…)。その後、「20歳時に達した時以後」では厳しいということで、精算課税ができたH15.1.1以後の証明でよいとされたと記憶しています。
 
 新日本法規出版HPの「税法最前線」では、「その期間の住所又は居所を確認できる書類」について次のようなコメントがあります。
 
【引用】
新日本法規出版HP 税法最前線

 (一部抜粋)

 この「その期間の住所又は居所を確認できる書類」について国税当局に取材したところ、サラリーマンであれば転勤履歴や賃貸借契約書など会社が証明できる書類、それ以外の人は自己申告書(住所の履歴をメモ等に一覧表にしたもの)を提出すれば適用されるとのこと。つまり、戸籍の附票や会社からの証明書がどうしても入手できない場合は、納税者からその期間の住所又は居所を聞き取り、一覧表にしたものを添付すれば事なきを得るということになる。
 
 
 最悪「自己申告書」でも許容されるケースがあるようですね。海外などに転勤した場合などは「戸籍の附票」には「○○国○○市」と住所の詳細までは表示しないケースもあります。「住所又は居所を確認できる」とうことの要求度がどこまでかが判らないので、念のため、会社から「在職証明書」に「住所」の証明も付記してもらったり、上記の「自己申告書」を作成して添付するようなことも考えられると思います。
 
 ただ、上記の議論を見ると、
 
(交付を受けることができる期間:「戸籍の附票」) + (交付を受けることができない期間:「確認できる書類」)
 
を要求していますので、慎重に考えると、「交付を受けることができる」ものは漏れなく入手しなければならないのかな?―ということになると思います。ここで
 
① 結婚等により戸籍が異動した場合
② 平成改製(戸籍のコンピューター化)があった場合等
 
では、戸籍の附票に異動後、改製後の住所履歴しか記載されておらず、平成15年1月1日以後の住所の連続性が取れない場合があります。その場合には「改製原戸籍の附票」を入手して、平成15年1月1日からの住所の連続性を取るという対応となります。結婚と改製が重なってしまっているケースなどでは、戸籍の附票を2つも3つも入手しなければならない場合もあり得るということになります。
 
 東京都の場合ですと、文京区あたりは平成20年10月4日にコンピューター化されたようですが、中央区ですと平成17年7月30日には、もう改製されているようで、既に保存期間の5年を超えるため、平成23年1月1日で「改製原戸籍の附票」は廃棄したということです。ということは、ここでも「改製原戸籍の附票」が入手できないところが増えてくる―「税法最前線」の9年前の記事に掲載されている「自己申告書」の出番も多くなってくるかもしれませんね。
 
 
 
2. 戸籍の取り方と見方―相続権者の特定

 戸籍がつながるとか、つながらないとか―相続の申告書に添付する相続人確定のための戸籍謄本(被相続人が生まれてから亡くなるまでのもの)のお話ともダブりますね。
 小池正明先生の「遺産分割の手続と相続税実務」(税務研究会出版局)では、上の「改製原戸籍」の解説がされています。
 
【引用】 本書(五訂版) p48
1)戸籍の種類
 被相続人と相続人の関係を明らかにし、相続権者を特定するため、相続実務では被相続人と相続人の戸籍謄本を収集する必要があります。不動産の相続登記等では、「登記原因証明情報」(相続証明書)を添付しなければなりませんが、これは被相続人の出生時から死亡時までの連続した戸籍謄本をいい、相続人に漏れのないことを証するものです。

 戸籍は、明治4年の戸籍法により編成されたのが最初ですが、その後数次にわたって様式が改められ、現行の様式は昭和22年に制定されたものです(最近の改正は、昭和32年法務省令第27号及び平成6年法務省令第51号附則第2条第1項で行われています)。戸籍の様式変更により旧戸籍から新戸籍に移記されますが、これを戸籍の改製といい、新戸籍が編成された場合の旧戸籍を「改製原戸籍」といいます。

 この場合、新戸籍に記載されるのは、その時点で籍を有する者だけであり、すでに除籍された者は記載されません。このため、相続人が誰であるかを確認する相続証明書の作成にあたっては、通常の場合、改製原戸籍を含めた複数の戸籍が必要となるわけです。
 
また、謄本の取り方についても、少し触れています。
 
【引用】 同書 同頁
2)戸籍謄本の取り方
 戸籍謄本は、その者の本籍地の市区町村役場で戸籍謄本等請求書を提出して交付を受けます。通常は、市区町村役場で手数料(1通に付き450円)を納付して直接交付を受けますが、本籍地、戸籍筆頭者、請求者の氏名を明記した書面に手数料分の定額小為替等を添えれば、郵送により交付を受けることができます(戸籍法10)。

 戸籍は、個人のプライバシーに係ることが記載されているため、除籍謄本については、原則として、戸籍に記載されている者のほかは、その配偶者、直系卑属及び直系尊属に当たる者以外には請求できないこととされています(戸籍法12の2)

 ただし、弁護士、司法書士、税理士等が職務上の必要に基づいて独自に請求するkとが可能です(戸籍法令11の2)。この場合は、請求者の資格の確認のために、一定の書式によるのが原則です。ちなみに、税理士の場合は、「戸籍謄本・住民票の写し等職務上請求書」[書式19(※出版時)]によることとされています[書式19(※出版時)は、税理士会が交付した用紙のみが有効で、これをコピーして使用することはできません]。
とあります。

※この書籍発売後(H21)にも、最近ではH24年7月に税理士会の様式改定があったようですね。
 
 
 
 
3. 感想等

 精算課税の本法上の受贈者要件は「贈与者の推定相続人である20歳以上の子」なので、「戸籍の附票」まで要らないんじゃないの…という議論はよく出ます。ただ精算課税自体は「相続と贈与の一体課税」というものですので、「入口」(適用要件)よりは「出口」(精算)も押さえざるを得ない―まあ、それなりの要求度があっても致し方ないのかなと個人的には感じています。
 
 まあ、電子申告化が進んできたとはいえ、添付資料は、今でも確定申告でも気を遣う話の一つですね。

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2013-03-10 : 相続税 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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