元会計事務所員。税務・会計関係の『積読本』消化をめざして立ち上げた感想文ブログです。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------- : スポンサー広告 :
Pagetop

第53回 今日的確定申告(6) 事業所得における交際費―「弁護士会における役員活動費」の裁判の行方

税務弘報 2011年6月号
特集 「損金・必要経費の異同から税法規定を考える」
税務弘報 2011年 06月号 [雑誌]税務弘報 2011年 06月号 [雑誌]
(2011/05/02)
【緊急特別企画】東日本大震災の税務 【特集1】これからどうなる?減価償却の実務動向 【特集2】損金・必要経費の異同から税法規定を考える

商品詳細を見る
[購入動機] 当時は東日本大震災関係で悩んでいたので購入
[コメント] 数年経ってからやっと、こちらの記事に気がつきました…

【参考】
税務弘報 2013年2月号
「実務に役立つ判例研究(第57回) 弁護士業の必要経費―弁護士会役員の交際費等」 
税務弘報 2013年 02月号 [雑誌]税務弘報 2013年 02月号 [雑誌]
(2013/01/05)
不明

商品詳細を見る

平成24年版 所得税必要経費の税務
村上幸宏編、大蔵財務協会、平成24年
所得税必要経費の税務〈平成24年版〉所得税必要経費の税務〈平成24年版〉
(2012/12)
村上 幸宏

商品詳細を見る

【今回の記事の目次】
 1. 所得税法における「交際費」―必要経費性の立証と家事費規定との関係
 2. 所得税法第45条―家事費と家事関連費
 3. H21.3.24非公開裁決 弁護士業の必要経費
  ― 弁護士会活動費は業務との「直接の関連」はない
 4. H24.9.19 東京高裁―文理解釈上、「直接の関連」が求められているとは読めない
 5. 感想等

1. 所得税法における「交際費」―必要経費性の立証と家事費規定との関係

 1年少し前の記事ですが、「税務弘報」2011年6月号に「損金・必要経費の異同から税法規定を考える」(pp44~pp77)という興味深い特集が組まれました。特に交際費については、朝倉洋子先生は所得税・法人税のとの対比の中で、次のように記しています。
【引用】 税務弘報2011年6月号
・ 法人税法における交際費については、大企業と中小企業とで、損金性は全くことなる取扱いとなる。一方、所得税における交際費の必要経費性については、事業の規模による区分ではなく家事費と家事関連費との区分の問題として検討しなければならない(p71)

・ 所得税法上、交際費については、法人税の場合のように、特別の規定がないところから、個々の支出ごとにその必要経費性を判断しなければならない(p73)

・ 法人税法上、交際費に該当するか否かの判断基準は、萬有製薬事件に判示された3要件基準(※)により判断される。一方、所得税法上、交際費として必要経費に該当するか否かの判断基準は、業務との関連性を立証することと、家事関連費については、明らかに家事費部分と区分することができるかにより判断される。

※ 法人税における交際費の3要件基準とは、①「支払の相手方」が事業に関係ある者等であり、②「支出の目的」が事業関係者等との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図ることであるともに、③「行為の形態」が接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為であること―といいます(p72)
 これらは事実認定の問題が絡むとともに、個人事業者に、業務との関連性の「立証」を求める点や「明らかに家事費部分と区分」させることの難しさが伴うものでもあります。

 
 朝倉先生によれば、過去の訴訟事例では、納税者が主張する交際費の必要経費性を認めた事例(本特集では①H20.2.18裁決 医師の中元等の交際費、②H18.1.10裁決 税理士業の海外旅行同行費用、③H21.3.24 弁護士役員会の交際費)は、いずれも非公開裁決であったとのことです(p77)。

 
 そうなんですか。納税者の主張が認められなかった交際費の裁決(H22.4.22裁決、H23.3.25裁決)は、割と公開されているのに…(③H21.3.24裁決のその後については後述します)。
 
 
 「必要経費」性については、同特集の冒頭で山口義夫先生が金子宏教授の次の文章を引用しています。
【引用】 税務弘報2011年6月号 pp44~45
・ 「ある支出が必要経費として控除されうるためには、それが事業活動と直接の関連をもち、事業の遂行上必要な費用でなければならない。(中略)問題は、必要経費として控除を認められるためには、必要な(necessary)経費であればよいのか、それとも「通常かつ必要」(ordinary and necessary)な経費でなければならないのかである。

 わが国の所得税法では、アメリカの内国歳入法162条のように「通常」の要件が規定されていないから、必要な経費であれば認められると解さざるをえない。

 したがって、違法ないし不法な支出も、別段の定めがない限り、控除を認められることとなる。ただし、架空の経費を計上するために行う支出(脱税工作金)は、収益を生み出すための支出ではないから、そもそも必要経費にあたらないと解すべきであろう(最決平成6年9月16日刑集48巻6号357頁)」(「租税法16版」(弘文堂)253頁)

・ 「ここに損金というのは、原則としてすべての費用と損失を含む広い概念として理解すべきである。費用として損金に計上を認められるためには、所得税法の場合と同様に、必要性の要件をみたせば十分であって、通常性の要件をみたす必要はないと解される(反対、東京地判昭和33年9月25日行裁例集9巻9号1948頁)」。したがって、不法ないし違法な支出も、それが利益を得るために直接に必要なものである限り、費用として認められる」(同書276頁)
 
 これに対して、山口先生の御意見は下記のとおりとなります。
【引用】 税務弘報2011年6月号 p45
 なお、最近の事例として、所得税法51条2項の貸倒損失の範囲について、税理士の関与先法人に対する貸付金の貸倒損失は、税理士が事業所得を得るために通常かつ必要なものと客観的に認めることができないとされた事例がある(津地裁平成17年(行ウ)24号(確定)平成18年4月27日)。

 したがって、金子教授の「通常性の要件」を不要とする見解が、課税実務の上で修正され、事案によっては「通常かつ必要」というアメリカ内国歳入法典162上の考え方が採用された事例があることに留意すべきであろう。
  う~ん。事業との「関連性」・事業遂行上の「必要性」の他にも、「通常性」も視野におさめていた方が良いということですね…。勉強になります。
 
 
 
 
2. 所得税法第45条―家事費と家事関連費

 一方、「明らかな区分」が問題とされるのが「家事上の経費に関連する経費」(家事関連費)です。
 
 家事上の経費及び家事関連費は、原則として必要経費に算入することはできません。ただし、家事関連費のうち、不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であったことが明らかにされる部分については必要経費に算入することができます。
 
 「平成24年版 所得税必要経費の税務」(大蔵財務協会、平成24年)では次のように記されています。
【引用】 平成24年版 所得税必要経費の実務 pp589~591
○ 家事部分と業務部分が一緒になっている費用の取扱い
 個人事業の場合、支出する費用によっては家事部分と業務部分が一緒になることは避けられないことが多いのですが、このように家事部分と業務部分が一緒となっている費用(家事関連費)は、原則として次の金額だけが必要経費とされることとなっています(所法45①一、所令96)。

1) その主たる部分が業務遂行上必要であり、かつ、その必要である部分が明らかに区分することができる場合の、その区分された部分の金額

2) 青色申告者の取引の記録に基づいて、業務の遂行上必要であったことが明らかにされている部分の金額

 このように家事関連費は原則的には、
① 主たる部分が業務の遂行上必要であること
② その部分が明らかにてきること。

 の二つが必要経費とするための要件とされ、青色申告者には「主たる部分」という要件がはずされています。

 この「主たる部分が業務の遂行上必要」であるかどうかは、その支出する金額のうち業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定しますが、その部分が50%以下であっても、その必要な部分が明らかに区分できる場合には、その部分を必要経費にすることができることに取扱われています。

 したがって、実務上は、青色申告者でなくても②の要件、つまり業務の部分が明らかに区分できれば必要経費とすることが認められることになります(所基通45-2)。

○ 家事部分と業務部分の区分の仕方
 家事部分と業務部分の区分については業務の内容、経費の内容、家族及び使用人の構成、店舗併用の家屋存他の資産の利用状況等を総合勘案して合理的に区分することとされています。
 
53-image1.gif
 
 
 
 
 
 
3. H21.3.24非公開裁決 弁護士業の必要経費
 ― 弁護士会活動費は業務との「直接の関連」はない

 「税務弘報」2011年6月号の朝倉先生の記事では、平成21年3月24日の非公開裁決を取り上げています。
【引用】 税務弘報2011年6月号 p76
 請求人が支出した弁護士会役員としての活動費及び弁政連会費等は、弁護士業務に直接の関連を有し、業務遂行上必要な支出と認められないが、記念品及び挨拶状については、顧問先等に配布されたものであり、弁護士業務の広告宣伝を目的とするものと認められるから、弁護士会等の役員の就退任に際して作成されたものであるとしても、作成費用等は必要経費に算入することが相当であるとした事例(平21-03-24非公開裁決。TAINSコードF0-1-320)(一部取消し、棄却)
 
 記事の[判決の要旨]部分(pp76~77)をまとめてみると次のとおりとなります。
 
・ 弁護士業務を行うためには弁護士会登録を要するが、役員となることは義務付けられたものではない。必要経費たる要件は、客観的にみて業務と直接の関連性を有し、かつ、業務遂行上通常必要な支出であることだが、弁護士役員会の活動は、弁護士業界に寄与するものであっても、個人の弁護士業務への寄与は、飽くまでも間接的なものである。したがって、弁護士会役員の業務活動費は、業務との直接関連性・業務上通常必要な支出とは認められない。
 
・ 仮に弁護士会活動が、他の弁護士との信頼関係構築に寄与し、紹介案件の増加があったとして、弁護士会の活動が家事関連費に該当するとしても、弁護士業務の遂行上必要と認められる部分を明らかにすることはできない。よって、これらの経費は必要経費には算入されない。
 
・ 一方、弁護士会役員の就退任時に作成された記念品や挨拶状は、本来の職務に係る状況を周知を含めた広告宣伝目的であると認められる。よって、弁護士活動に直接の関連を有し、業務遂行上通常必要な支出と認められるため、必要経費算入は相当である。
 
 
 
 「業務との直接関連性」がないことと、家事関連費としても「業務上必要となる部分」が明らかにできない―の2点を、必要経費に算入できない理由としています。
 
 
 
 
4. H24.9.19 東京高裁―文理解釈上、「直接の関連」が求められているとは読めない

 上の裁決は、これを不服とした納税者の出訴により、東京地裁、東京高裁で争われることになりますが、少し様子が変わってきます。
 
 このあたりのことが「税務弘報」2013年2月号「実務に役立つ判例研究(第57回) 弁護士業の必要経費―弁護士会役員の交際費等」(林仲宣先生、谷口智紀先生)でフォローされています。同記事による裁判所の判断を引用します。
【引用】 「税務弘報」2013年2月号 p142
2 裁判所の判断
① 所得税法施行令96条1号が、家事関連費のうち必要経費に算入することができるものについて、経費の主たる部分が「事業所得を…生ずべき業務の遂行上必要」であることを要すると規定している上、ある支出が業務の遂行上必要なものであれば、その業務と関連するものである。これに加えて、事業の業務と直接関係を持つことを求めると解釈する根拠は見当たらず、「直接」という文言の意味も必ずしも明らかでない。

② 納税者が弁護士会等の役員等として行う活動は、弁護士会等の業務に該当する余地はあるとしても、社会通念上、納税者の「事業所得を生ずべき業務」に該当すると認めることはできない

③ もっとも、納税者の弁護士会等の役員等としての活動が納税者の「事業所得を生ずべき業務」に該当しないからといって、その活動に要した費用が納税者の弁護士としての事業所得の必要経費に算入することができないというものではない。

④ 弁護士界等の活動は、弁護士に対する社会的信頼を維持して弁護士業務の改善に資するものであり、弁護士として行う事業所得を生ずべき業務に密接に関連するとともに、会員である弁護士がいわば義務的に多くの経済的負担を負うことにより成り立っているものであるということができるから、弁護士が人格の異なる弁護士会等の役員等としての活動に要した費用であっても、弁護士会等の役員等の業務の遂行上必要な支出であったということができるのであれば、その弁護士としての一般対応の必要経費に該当する。

⑤ 弁護士会等の役員等が(ⅰ)所属する弁護士会等又は他の弁護士会等の公式行事後に催された懇親会等、(ⅱ)弁護士会等の業務に関連する他の団体との協議会後に催される懇親会等に出席する場合、その費用の額が過大であるといえないときは、社会通念上、その役員等の業務の遂行上必要な支出である(以下略)。
 
 まず目を引くのは①の判断ですが、②から④の話の流れを追ってみると、弁護士会での活動自体は「事業所得を生ずべき業務」でないけれども、「業務関連性」があり、「業務上必要な支出」であると言えるということなのでしょう。必要経費を「直接対応の必要経費」と「一般対応の必要経費」に区分するとすれば、後者のものに該当する―とういことのようです。更に⑤での「その費用の額が過大であるといえないとき」を鑑みれば、「税務弘報」2011年6月号で山口先生がまとめた必要経費の要件―「関連性」「必要性」「通常性」―は揃っているということになります。
 
 そこで「直接性」が議論となるわけですが、同記事のp143では納税者・税務署の主張、裁判所の判断を次のようにまとめています。
 
納税者の主張
国税の主張
裁判所の判断
所得税法37条に定める必要経費のうち、一般対応の必要経費については、その文言及び性質上、支出と収入の直接関連性は必要とされていないから、会務活動に伴う支出は必要経費に該当する。
一般対応の必要経費に該当するか否かは、当該事業の業務と直接関連性を持ち、かつ、専ら事業の業務の遂行上必要であるといえるかによって判断すべきであるから、本件支出はいずれも必要経費には該当しない。
同条の解釈からは、一般対応の必要経費について、事業の業務と直接の関連性を持つことを求めると解約する根拠は見当たらず、「直接」という文言の意味も必ずしも明らかでないとしたうえで、弁護士会等の活動は、弁護士として行う事業所得を生ずべき業務に密接に関連するとともに、会員である弁護士がいわば義務的に多くの経済的な負担を負うことにより成り立っていることから、弁護士が弁護士会の役員等としての活動に要した費用であっても、その弁護士としての事業所得の一般対応の必要経費に該当する。
 
 お二人の記事では「これまで課税庁は、後者の一般対応の必要経費にも「直接」の文言を付すことで、必要経費の範囲を狭く解してきた」(p143)と指摘します。その上で、「裁判所の判断は、租税法律主義の下における租税法の厳格な解釈を行って一般対応の必要経費の範囲を明らかにしたものであり、評価できる」(同頁)としています。
 
 むすびとして「この論理が弁護士会の一般会員が弁護士会等の活動に要した費用も一般対応の必要経費に該当するのか、また税理士会など他の強制加入の専門職団体においても通用するかは興味深い。本事案は上告受理申立てされており、今後の展開が注目される」(同頁)と記しています。
 
 
 
 
5. 感想等

 所得税「必要経費」の本質的な理解に立って、「当てはめ」を考えていくことは、意義深いものであると思います。その一方で、個人事業者の理解レベルなど実情を考えると頭が痛いところではありますね(まあ、自分が専門家としての説明能力が欠如しているだけですが…)。
 
 今回は「税務弘報」2011年6月号「損金・必要経費の異同から税法規定を考える」を取り上げました。
 
 この「異同」という言葉の意味が正確にわかります?と、税理士試験の専門学校の先生(TのK先生)に言われたことがあります。
 
 平成19年の税理士試験(法人税法)の第一問の問2で次のような問題が出題されました。
2
 B社の支出した資本的支出bについて、その取得価額等の法人税法上の原則的な取扱いと選択して適用できる翌事業年度の取扱いを簡潔に説明した上で、その翌事業年度の取扱いの異同を示しなさい。
 
 「同じところと違うところを示せばいいんじゃない?」と思った貴方。私と同類です。
 
正解は、goo辞書によると、
-どう 【異同】
異なっているところ。相異。違い。「両者に―はない」「本文の―を調べる」
[補説] 「同」は語調をととのえる添え字で意味がない。
  だそうです。解答範囲が違ってくるじゃん…。税理士試験の受験があまりにも長くなると、私のように日本語能力が破滅的に低下しますので、ご注意くださいね(泣)。
 
 あとK先生、お怪我からの復活を心よりお祈りしております<(_)>
関連記事

テーマ : 会計・税務 / 税理士
ジャンル : ビジネス

2013-03-14 : 所得税 : コメント : 0 : トラックバック : 0
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

Pagetop
« next  ホーム  prev »
書籍・中古本購入サイト
Pagetop

プロフィール

kiyusama31

Author:kiyusama31
男性/神奈川県/乙女座/AB型

 ご訪問、ありがとうございます。
 税務・会計関係の『積読本』の山を崩したいと、日々研鑽中です。「書評」に至らぬ「感想文」レベルですが、長文(5,000字目途?)の記事を掲載していこうかと思っております。

※H25.9 税理士開業致しました!
飯田真之税理士事務所
http://iida-cpta.com/

応援よろしくお願い致します!


こちらはサイト用拍手です。
励みになります!
web拍手 by FC2

FC2カウンター

PR 中古本購入サイト他

カレンダー

08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
ファイナンス
19位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
経理・会計
7位
アクセスランキングを見る>>

人気ページランキング

ミニ本棚(ブクログHPに飛びます)

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。