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元会計事務所員。税務・会計関係の『積読本』消化をめざして立ち上げた感想文ブログです。

第61回 交際費総点検!(5) 交際費の課税方法の沿革~吉牟田先生の「4段階説」

法人税実務問題シリーズ 交際費[第3版]
 日本税理士会連合会編、八ツ尾順一著、中央経済社、平成10年
交際費―税務処理・申告・調査対策 (法人税実務問題シリーズ)交際費―税務処理・申告・調査対策 (法人税実務問題シリーズ)
(2007/11)
八ッ尾 順一

商品詳細を見る

[購入動機] 書名
[コメント] 個人的には、実務問題シリーズの中では良い部
類だと思います。
 ※第5版まで出ています(上記写真等は第5版です)

【参考】
「日税研論集」11号(1989年)
税経通信2000年5月号
武田昌輔監修、成道秀雄編、「法人税の損金不算入規定」、中央経済社、2012年
山本守之 「交際費の理論と実務」、税務経理協会、2009年
【今回のブログの目次】
1. 交際費[第3版]より~吉牟田先生の交際費の沿革の「4段階説」
2. 吉牟田説(1989) 「第1期」(昭29~昭35)の交際費の算式
3. 吉牟田説(1989) 「第2期」(昭36~昭41)の交際費の算式
4. 吉牟田説(1989) 「第3期」(昭25~昭29)の交際費の算式
5. 吉牟田説(1989) 「第4期」(昭57~現在)の交際費の算式
6. 感想等~「法人税の損金不算入規定」(2012)の考察等

1. 交際費[第3版]より~吉牟田先生の交際費の沿革の「4段階説」

 中央経済社の法人税実務問題シリーズ「交際費」(第3版)では、交際費の沿革―特に計算方法の変遷についての記載があります。
【引用・一部図表化】 「交際費(第3版)」 p21より
 交際費課税の沿革については、吉牟田勲教授は「4段階説」を採っている。
 具体的には次のとおりである(「日税研論集」11、12頁)
1
1期
29~昭35
交際費過大支出(濫費)抑制のための課税(取引基準控除等)の時期
2
2期
36~昭41
社用消費者への現物給与の代替課税等(定額基礎控除等)の時期
3
3期
42~昭56
交際費増加部分の全額損金不算入(減少部分の全額損金算入)の時期
4
4期
57~現在
原則全額損金不算入(基礎控除廃止)の時期
 
 こちらで紹介されている「日税研論集」11号は、1989年発売のものだと思います。公益社団法人日本税務研究センターでバックナンバーの検索ができますが、現在在庫はないようです(2013年4月現在)。

【参考】 公益社団法人日本税務研究センター 吉牟田先生のご執筆分の検索結果
 
 吉牟田勲(よしむた いさお)先生は、税大や日大・筑波大大学院などで教鞭を取られましたので、こちらの本(私の手元の3版はH10に出版)では「教授」という表現をされているようです。先生の著作等については、若輩者の私の手元にあるものとしては、税経通信2000年5月号に「法人税における時価会計の導入」を寄稿されているものぐらいでして…(不勉強で申し訳ございません)。
 
 この号に寄稿当時までのご経歴が掲載されています。
【引用】 税経通信2000年5月号 p18
 1930年1月長崎県に生まれる。旧制佐賀高校文科乙類卒業。
 大蔵省主税局国際租税課係長、同税制第1課係長、同税制第3課長補佐、同税制第1課課長補佐
 税務大学校研究部教授、日本大学国際関係学部教授、筑波大学大学院経営政策科学研究科教授、東京経営短期大学大学教授を経て、現在、日本大学大学院国際関係研究科非常勤講師。
 第34回~第36回税理士試験委員、平4.2~平12.2企業会計審議委員、平7~現在(※) 税制調査会企業課税小委員会専門委員

[主要著書]
 法人税法詳説(中央経済社)、退職金(税務経理協会)、売上税法案の逐条解説(中央経済社)、引当金・準備金の税務(ぎょうせい)、民・商法と税務判断(共著・六法出版社)、日本租税史の変遷(ゼイ・アイ・エス)、企業年金(財経詳報社)等多数

※注 寄稿当時の記載です。
 
 こちらの先生の著作をアマゾンで見てみると、高いものですと現在2013年4月9日現在の中古価格で
① 「退職金」…2点出品 1985年版は69,888円、1987年版は18,000円
② 「法人税難解用語の解釈」(編者の一人。守之会著、2000年)…2点出品 良本 29,719円、可3,500円
③ 「不測の損害賠償をめぐる法務と税務」(共著、1989年)…5点出品 良本 15,981円~18,000円
④ 「最新土地税制の解説」(1973年)…1点出品 11,334円
となっております。

数が出ていそうな「法人税詳説」も出品者の詳細を見てみると、良本の場合、案外、高値が付いていることもあります。
 
税大論叢の12.号と13号に寄稿されており、それは現在HPで閲覧できます。

【参考】 論叢12号 法人税・所得税の二重課税調整度合の計算方式試論
【参考】 論叢13号 ECの共通法人税制指令案の逐条研究

 また、税制調査会専門員として、大改正(H10)のたたき台となった「平成8年11月法人課税小委員会報告」にも名を連ねています(メンバーがすごいですね)。交際費[第3版]が刊行された時点でも専門員をなさっていたということですね。
【参考】 財務省HP 平成8年11月 法人課税小委員会報告

【追加】 2013/5/16 山本守之先生は「第5期」に区分
 山本守之先生は、「
交際費の理論と実務」(2009年)において、吉牟田先生の「第4期」を、「第4期」「第5期」の2期に分けて交際費課税の沿革を論じられています。
【引用】 交際費の理論と実務 p7
④ 第4期(昭57~平6.3)…原則全額損金不算入(一部の中小企業を除いて基礎控除の廃止)の時期
⑤ 第5期(平6.4~現在)…全額損金不算入を原則とし、中小企業の定額控除限度額内の一定部分も損金不算入とし、限度超過額は全額損金不算入とする時期

 今回の改正(2013)は「先祖かえり」のようなのでもありますので、もし当改正を加味するならば、「6期」を足すか、「5期」の内容も、大枠は「4期」の話とするか―というところになるかもしれませんね。


 
 
 
 
2. 吉牟田説(1989) 「第1期」(昭29~昭35)の交際費の算式

 では、「第1期」の内容を確認していきましょう。
 以下「交際費(第3版)」の記述・引用に下記の財務省HPの資料を補完したものを記していきます。
【参考】 財務省HP 交際費の沿革
【引用・一部図表化】 「交際費(第3版)」 pp21~23
1] 昭和29年~昭和35年までの課税時期
[当初計算式] 昭和29年
61-image1.jpg

制度概要(p21)
 交際費課税は、昭和29年に創設されたわけであるが、当時の規定は、資本金500万円以上の法人についてのみ適用することとされ、交際費の損金不算入の限度としては、取引高(収入金額)基準と既往実績基準とが定められた。

取引高基準(pp21~22)
 取引高基準はその営む主たる事業の区分に応じて、取引高に一定の割合を乗じた金額であり、その主たる割合は次のとおりである。

証券業および商品取引業
貿易業
貿易業以外の卸売業および小売業
製造業、運輸業、映画業等
出版業(新聞業を除く)、不動産貸付業
建設業および保険業
新聞、ニュース供給業、広告業、倉庫業
1,000分の0.4
1,000分の1.5
1,000分の2.5
1,000分の6
1,000分の8
1,000分の12
1,000分の15

その後の改正等(pp23~) 一部補完
1
29年度
改正
(創設)
29.4.1~昭31.3.31
開始事業年度
期末資本金500万円以上の法人
上記算式参照
2
31年度
改正
29.4.1~昭31.3.31
開始事業年度
期末資本金500万円以上の法人
限度超過額の全額を損金に算入しないこととした。
3
32年度
改正
32.4.1~昭34.3.31
開始事業年度
期末資本金1,000万円以上の法人
①実質基準70%を60%に引下げ
②適用法人の資本金を1,000万円以上に引上
③取引基準の率を従前に比べ3割引上げ
4
34年度
改正
34.4.1~昭36.3.31
開始事業年度
同上
①「基準年度の交際費額」を「基準交際費額」とし、「基準交際費額」は次のいずれかのうち多い金額とした(各企業のバランス是正のため)。
イ 昭34.1.1を含む事業年度開始の日前1年以内に開始した各事業年度の交際費の80%相当額
ロ 昭29.4.1を含む事業年度開始の日前1年以内に開始した各事業年度の交際費額の60%相当額
②上記算式変更に伴い月数按分後の実質基準の60%は除かれた。
 
 
 
 
 
3. 吉牟田説(1989) 「第2期」(昭36~昭41)の交際費の算式

 一見「濫費抑制」に適ったような計算方式であった「第1期」ですが、①期末資本金額で適用の可否を判定するため、増資をしない又は資本基準額未満の子会社を新設して回避する法人が存在したこと、②取引額基準が大企業に有利となっていること、③取引額基準の割合が業種別に定められているなどの問題があったようです(武田昌輔監修、成道秀雄編、「法人税の損金不算入規定」、中央経済社、2012年、p33)
 
 そこで「第2期」の計算式に改正されることになります。「交際費」では次のように紹介されています。

【引用・一部図表化】 「交際費(第3版)」 pp24~25
2] 昭和36年~昭和41年までの課税時期
[当初計算式] 昭和36年
61-image2.jpg

制度概要(p24)
 昭和35年12月、税制調査会第一次答申で、交際費課税について次のように述べている。

「交際費課税の特例についてその簡素化及び公平化を図るとともにこれを強化するため現行の1千万円以上の法人の支出交際費についてと取引基準及び実績基準を基礎として否認する制度に代えて、企業の支出交際費のうち一定の基礎控除額を超える金額の一定割合を損金に算入しない制度に改め、その適用期限を3年間程度延長する。」

 これを受けて、昭和36年税制改正では、すべての法人について法人の支出した交際費から、資本金等を基準とした一定額を差し引いた残額の20%を損金の額に算入しないこととした。

期末自己資本金額(pp24~25)
 期末自己資本金額とは、期末における資本または出資の金額、再評価積立金の額、資本積立金額および利益積立金額の合計額をいう。尚、利益積立金額は、昭和39年度税制改正において除外され、寄付金の資本金基準と同じとした。

その後の改正等(pp24~) 一部補完
5
36年度
改正
36.4.1~昭39.3.31
開始事業年度
全法人
上記算式参照
6
39年度
改正
39.4.1~昭40.3.31
開始事業年度
同上
①損金不算入割合を20%から30%に引上
②控除額「300万円+期末自己資本金額×1/1000」を「400万円+期末自己資本金額×2.5/1000」に変更
③期末自己資本金額から利益積立金額を除外し、寄付金の資本金基準と同じにした。
④海外取引に関し、来日した外国人についての旅費、宿泊料、滞在費はこれを交際費に含めないこととした。
7
40年度
改正
40.4.1~昭42.5.31
開始事業年度
同上
損金不算入割合を30%から50%に引上
 
 
 
 
 
4. 吉牟田説(1989) 「第3期」(昭25~昭29)の交際費の算式

 今から読み返すと非常に複雑に思われるのが、「第3期」の交際費課税です。
 というのも、ここまで改正を経ても、交際費の増加傾向は収まりません。

58-image4.jpg

 答申でも前々回の趣旨・目的で取り上げた「社会的批判」説の論調が濃かった時代ですので、次々となされる改正も課税強化の一途を辿るものでした。意地でも交際費支出の増加を抑えたい―というのが如実に表れています。
 
【引用・一部図表化】 「交際費(第3版)」 pp25~29
3] 昭和42年~昭和56年までの課税時期
[当初計算式] 昭和42年
1
支出交際費額<Aのとき
(算式1)
B-(A-支出交際費額)}×損金不算割合50%
2
支出交際費額>A×105%のとき
(算式2) イとロの合計額
イ (支出交際費額-A×105%)×100%
ロ (B-イの金額)×損金不算入割合50%
3
A≦支出交際費額≦A×105%のとき
(算式3) B×損金不算入割合50%


A
基準交際費額
前年同期の支出交際費額をいう
B
限度超過額
{ 支出交際費額-(400万円+期末自己資本金額×2.5/1000)×当期の月数/12 }

制度概要 (pp25~26引用)
 昭和42年2月の税制調査会の答申では、次のように述べられている。

「その適用期限を延長するとともに、基準年度(たとえば直前事業年度)の交際費と比べて増加額について課税を強化する一方、減少額についてこれを否認対象額から控除する等の措置を講ずる」

 この趣旨については、次のように説明されている(「DHC会社税務釈義」2053の4頁)

「交際費課税の本来の狙いは、税収をあげるというよりも、過大な交際費の支出に対して課税を行うことによりこれらの支出を節約させて、より有益な面(例えば、試験研究など)へその支出を向けさせる点にある。このような見地からすれば、すべての企業に対して一定の基礎控除部分を認めるともにそれを超える部分について単純に一定割合により損金不算入とするよりも、前期により交際費支出を減少させた企業には法人税負担を軽減する反面、逆に交際費支出を増加させた企業には税負担を重課する仕組みを加える方が適当であると考えたわけである。」

 この考え方に基づいて、昭和42年度税制改正では次のようになった。

「交際費が前年同期の額をこえた場合には、その超過額のうち前年同期の額の5%をこえる部分の全額を課税する一方、前年同期の額より減少した場合には、その減少額相当額を否認対象額から控除する制限を合理化する」

その後の改正等(pp25~) 一部補完
8
42年度
改正
42.6.1~昭44.3.31
開始事業年度
全法人
上記算式参照
9
44改正
年度
44.4.1~昭46.3.31
開始事業年度
同上
算式1~3の損金不算入割合50%を60%に引上げ
10
46改正
年度
46.4.1~昭48.3.31
開始事業年度
同上
算式1~3の損金不算入割合60%を70%に引上げ
11
48年度
改正
48.4.1~昭49.3.31
開始事業年度
同上
算式1~3の損金不算入割合70%を75%に引上げ
12
49年度
改正
49.4.1~昭51.3.31
開始事業年度
同上
B(限度超過額)の期末自己資本金額×2.5/1000を1/1,000に引下げ
13
51年度
改正
51.4.1~昭52.3.31
開始事業年度
同上
①算式1~3の損金不算入割合75%を80%に引上げ
B(限度超過額)の期末自己資本金額1/1,000を0.5/1,000に引下げ
14
52年度
改正
52.4.1~昭54.3.31
開始事業年度
同上
①算式1~3の損金不算入割合80%を85%に引上げ
B(限度超過額)の期末自己資本金額0.5/1,000を0.25/1,000に引下げ
15
54年度
改正
54.4.1~昭56.3.31
開始事業年度
同上
B(限度超過額)の定額控除額年400万円を200万円に引下げ
ただし資本金1000万円超5000万円以下の法人にあっては年300万円とし、資本金1000万円以下の法人にあっては400万円とした。
B(限度超過額)の資本基準(期末自己資本金額×0.25/1,000)を廃止
③算式1~3の損金不算入割合75%を90%に引上げ
16
56.年度
改正
56.4.1~昭57.3.31
開始事業年度
同上
算式2の「A×105%」を「A×100%」とした。
 
 
 
 
5. 吉牟田説(1989) 「第4期」(昭57~現在)の交際費の算式

 ここまでの改正を経てもなかなか交際費の増加傾向は止まりません。「第4期」の交際費課税は、もう「開き直って」、原則:全額不算入とする措置に至りました(制度創設当初は、一応交際費は損金であるという建前は、どこかに行ってしまった感じです)。
 
 なお、吉牟田先生が「日税研論集」で発表された1989(H1)後の1992(H4)を頂点に支出交際費の増加傾向が収まり、以後減少傾向に移っていきます。そのため最近の改正の趣旨・目的は「第4時代」当初のものから、変わってきていますが、計算構造の基本的な部分は現在でも維持されていると思います。
【引用・一部図表化】 「交際費(第3版)」 pp29~30
4] 昭和57年~現在までの課税時期
[当初計算式] 昭和57年
61-image3.jpg

制度概要 (pp29~30引用)
 昭和56年12月の税制調査会の答申では、交際費課税について次のように述べている。
「交際費については、累次にわたって課税の強化が行われてきたところであるが、巨額にのぼる交際費の実態及びその支出額が毎年増加し続けているという事実に対する社会的批判には依然として厳しいものがある。したがって、この際、交際費に対する課税の全般的な強化を図るべきである。」

 そして、昭和57年度改正では、「交際費課税制度について、3年間の措置として、交際費の全額(資本金1,000万円以下にあっては年400万円、資本金1,000万円超5,000万円以下の法人にあっては年300万円をそれぞれ超える部分の金額)を損金不算入とする」ことになった。
その後の改正等(pp29~) 一部補完
17
57年度
改正
57.4.1~昭60.3.31
開始事業年度
全法人
上記算式参照
18
60年度
改正
57.4.1~昭62.3.31
開始事業年度
同上
2年間延長
19
62年度
改正
57.4.1~昭64.3.31
開始事業年度
同上
2年間延長
20
1年度
改正
57.4.1~平3.3.31
開始事業年度
同上
2年間延長
21
3年度
改正
57.4.1~平5.3.31
開始事業年度
同上
2年間延長
22
5年度改正
57.4.1~平7.3.31
開始事業年度
同上
2年間延長
23
6年度
改正
6.4.1~平7.3.31
開始事業年度
同上
資本金5,000万円以下の法人の交際費について、定額控除額以下の交際費支出部分についても10%相当額を損金不算入とする
24
7年度
改正
7.4.1~平9.3.31
開始事業年度
同上
2年間延長
25
9年度
改正
9.4.1~平11.3.31
開始事業年度
同上
2年間延長
26
10年度
改正
10.4.1~平11.3.31
開始事業年度
同上
資本金5,000万円以下の法人の交際費について、定額控除枠内の損金不算入割合を10%から20%相当額に引上げる
27
11年度
改正
10.4.1~平13.3.31
開始事業年度
同上
2年間延長
28
13年度
改正
10.4.1~平15.3.31
開始事業年度
同上
2年間延長
29
14年度
改正
14.4.1~平15.3.31
開始事業年度
同上
資本金1,000万円超5,000万円以下の法人の交際費について、定額控除限度額を400万円に引上げる
30
15年度
改正
15.4.1~平16.3.31
開始事業年度
同上
①資本金1億円以下(中小法人)の交際費について、400万円の定額控除を認める。
②定額控除枠内の損金不算入割合を20%から10%相当額に引下げる
31
18年度
改正
15.4.1~平18.3.31
開始事業年度
同上
2年間延長
②交際費等の範囲から1人当たり5,000円以下の飲食費を除外する。
32
20年度
改正
18.4.1~平22.3.31
開始事業年度
同上
2年間延長
33
21年度
(経済危機対策関連)改正
同上
同上
①中小法人の交際費について、定額控除限度額を600万円に引上げる。
②平21.4.1以後に終了する事業年度について適用
34
22年度
改正
18.4.1~平24.3.31
開始事業年度
同上
2年間延長
②定額控除限度額については、資本金の額等が5億円以上である法人等による完全支配関係がある普通法人には適用しない。
35
23年度
(いわゆる「切り出し法」)改正
同上
同上
中小企業税制(交際費では定額控除限度額)については、完全支配関係がある複数の大法人には発行済株式等の全部を保有されている場合にも適用がないこととされた。
36
24年度
改正
18.4.1~平26.3.31
開始事業年度
同上
2年間延長
37
25年度
改正
同上
同上
①定額控除限度額を600万円から800万円に引上げ
②定額控除枠内の損金不算入措置(10%)を廃止
③平25.4.1以後に開始する事業年度について適用

※改正35~37については、管理人が追加しました。34と35はグループ法人課税制度の創設と改正のものであり、交際費課税そのものの仕組みの改正ではないかもしれませんが、ここでは記載しております。
 
 
 
尚、吉牟田先生の「日税研論集」では当時(1989年)の定額控除について批判的に捉えられていたようです。
【引用】「交際費(第3版)」 p30
 なお、資本金額の小さい法人ほど定額控除額が大きいということに対して多くの批判がある(「日税研論集」11、31頁)
 「小法人ほど多額とされている現在の定額控除の制度は、交際費が明らかに事業上の経費であり、企業規模に応じて、事業経費である交際費等が増加するものであり、増加すべきものであるという企業の実情および理論上の妥当性に反するムード的批判を受け入れたたけに生じた不合理な税制であると考えられる。」
 
 
 
 
6. 感想~「法人税の損金不算入規定」(2012)の考察等

 このあたりの整理は、9回でも取り上げた武田昌輔先生監修、成道秀雄先生編、「法人税の損金不算入規定」(中央経済社、2012年)でも取扱っています(交際費のパートは税理士の上松公雄先生が担当されています)。
 
 ここで上松先生は、山本守之先生の「社会的批判の対象となる冗費・濫費としての交際費等の範囲の見直しが必要」という指摘と重なる部分の指摘をしています。
【引用】 「法人税の損金不算入規定」 p53
 (交際費等の範囲について租税特別措置法通達において例示に関する規定は数多く用意されているが)、しかしながら、交際費等の範囲あるいは隣接費用との区分を巡る課税当局との争いは少なくない。これは、交際費等の定義規定(措法61の4③)が、あらゆる費用を網羅的に対象とする内容となっていることに一因があるものと解される。すなわち、定義規定の網羅性は、費用の名目にかかわらず、その実質に基づいて判断する必要から肯定できるものの、交際費等は原則全額損金不算入とされる仕組みと相俟って、課税当局において、交際費等の範囲を拡大解釈する傾向を生みだしているものと推察される。

 この典型的な例としては、英文添削料の負担を巡る事件(平成15年9月9日東京高裁。萬有製薬事件)や遊園地の優待無料入場券の発行を巡る事件(平成22年10月8日最高裁第二小法廷。オリエンタルランド社事件)を挙げることができる。

 ここで、交際費等の範囲あるいは隣接費用との区分に関する争いを抑制するためには、法令又は取扱いにおいて、この点を明確にすることも重要であるが、第1に、その判断と基準となる、交際費の意義について、より明確なものとする必要があると考える。この場合、例えば、交際費等の意義に関する解釈について、特に司法判断を蓄積することによって、これを明確にする方策が採り得るところである。

 しかしながら、交際費等の意義を巡る司法判断としては、旧2要件説、2要件説、3要件説と変遷、混交としているところであり、交際費との範囲あるいは隣接費用との区分の争いを減少せしめるには至っていない。

 したがって、交際費等の範囲あるいは隣接費用との区分を適正ならしめるためには、法令において交際費等の意義について、より明確なものにすることが出発点となるものと考える。
 
 前々回に見てきた「趣旨・目的の変遷」と、今回見てきた「課税方法の変遷」を見るに、創設当初も「複雑極まりない形式基準」(黒沢清・湊良之助共著「企業会計と法人税」)という批判があったらしですが、近年の状況に比べれば、まだ整合性があったように見えます。

 その後、「濫費抑制」の公共政策として、吉牟田先生の「第2期」から「第3期」と度重なる改正が行われましたが、支出交際費額の増加は止められず、本来損金の建前であったものが、とうとう「第4期」には全額損金不算入という形に至ってしまいました。

 こうなってしまうと、上松先生のおっしゃるように課税側が「全額不算入という制度と相俟って、交際費の額を拡大解釈する傾向」に流れていってもおかしくはないでしょう。

 ここに至って顧みると、そもそも定義規定が明確・明瞭でないのではないか―という原点に立ち戻るということになります。
 
 上松先生は他にも改正(制度強化)理由に関する疑問と有効性の検討や制度への提言を行っています(同書pp55~58)。私の理解で要約してみますと、
① 交際費支出額は総額の他に、「1社当たりの交際費支出額の推移」を見ると、課税強化をした時期には、「交際費等支出額が増えている」という課税強化の前提を失っているように思える。


② 交際費減少は損金不算入制度以上に景気・経済的な影響は強いのではないか(私も第58回で述べたとおりで、同意見です)


③ 交際費等の意義については、法令においてより明確にする必要がある。「通常かつ必要な費用」の定義が必要であり、行為の一般性、金額、頻度、回数などから整理する必要がある。


④ 
恒久的な制度として、租税特別措置法でなく、法人税本法で定めるべき。措置法で規定されている限り、これは政策となるので、税務会計上、適正な制度に改めるべき必要性、優先順位は低いものとならざろるを得ない


⑤ 交際費の意義・範囲の明確化が手数・コストに見合わないのならば、一つの簡便法として損金算入を「支出額×一定割合」に限定するという方法も肯定されるであろう。
という感じでしょうか。
 
⑤の発想は、今回取り上げた創設時(第1期)の計算思考とも言えなくもないですね。
次回は2要件説、旧2要件説、3要件説を取り上げたいと思っております。


【追記】 2013/5/16 一部記事追加
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